さて、気がつくと
ふと足を向けてしまうバンコクの古本屋さん
日用品の買い物をした後だったので
結構すでに荷物が重いんですが・・・
アイリッシュの「裏窓」、
こちらはヒッチコックの映画版のほうが良いかも。
うん、これはもう読んだかな?
でもOKOK、桐野夏生のこの頃の作品は
何度読んでも良し。
もう止めないと、バッグに入りきらないな・・・
ラブ&ロマンス映画
実はあまり観ていません。
無意識に避けたりしていて。
理由?
あまりにシンプルですが
若い時分(今でもですが)モテなかったからでしょうね。
「俺には縁の無い世界の話なんだ」
とひがみ根性がありあり。
だから美男美女がどんなに情熱的な恋愛物語を
繰り広げても、なんの感慨も湧かないという。
しかしこの作品は例外。
あまりに良く出来ているので
(脚本、撮影、演技全て)
何度でも観返しまちゃいますね。
ニューヨークの保険会社に勤めるジャック・レモン
大部屋勤務の平社員ですが、
上役連中の”浮気用ルーム”に自分のアパートの部屋を提供して
点数を稼いでいます。
そんな彼が好意を寄せているのが
エレベーターガールのシャーリー・マクレーン
ところがなんと、自分の部屋を使っている上役の一人が
彼女を愛人にしていたのです。
将来に希望を見出せない彼女は上役が帰った後に自殺を試みます。
その後、部屋に戻ってきたジャック・レモンは
アパートの隣室に住む医者夫婦の力を借りて、彼女を懸命に介抱します。
そんな彼の実直な態度に、彼女の傷ついた心が癒されていきます。
上役に媚びへつらうことで手に入れた昇進、今や彼の仕事部屋は
大部屋ではなく広々とした個室です。
しかしそんな自分に嫌気が差し、会社を去り
アパートを引き払う準備を進めます。
引っ越し準備を進めていると、そこにやってきたのは
上役との関係を清算したシャーリー・マクレーン。
驚くジャック・レモンを相手にトランプを始めます。
何か言いかけるジャックに一言。
「黙ってカードを配りなさいな」
うーん、これが映画の見本だ!
という完璧な構成であります。
主役の二人があまりにハマり過ぎていますし
脇役の出し入れがこれまた最高。
名匠ビリー・ワイルダーの1960年作品、
数多くの傑作を送り出してきた人ですが
一番脂がのっていた時期の「永遠の1本」
ですね。
1980年代中頃から立て続けに発表された
ウェインの三部作。
これがまた実に評判が悪い、評価が低い。
音楽専門誌でもほぼ、ボロカスに扱われていたと記憶してます。
確かに、シンセとか打ち込み多用で
「これほど名声が確立しているミュージシャンが時流に色目など使って・・・」
と受け取られた面があったんです。
でも良く聴けば、単なるフュージョン系の音楽とは
全く違うレベルであることが分かるんですけどね。
曲の構成が相変わらず独特&複雑ですねえ。
様々な音楽スタイルを追求してきたショーターですが
2000年代に入ると、ピアノ、ベース、ドラムスのメンバーを固定して
ベーシックなフォーマットに回帰します。
しかしそこはショーター、
懐かしの名曲をただムーディーに、なんてことは全く無く
プレイがよりプログレッシブに展開していくのですね。
ここが他のミュージシャンと一線を画しているところです。
もう夢幻の境地。
このメンツでの日本でのライブにも行きましたが
彼の周りだけ漂う空気が違ってましたね。
今年で87歳を迎えるウェインですが、
どうぞ、いつまでもお元気で・・・
貴方の音楽で、それこそ人生が変わった人も居るのですよ。
ウェイン・ショーターのスピーク・ノー・イーヴル(65年)
私が聴いてきたジャズのアルバムでトップ、ナンバー1の作品です。
もうこれで決まり。
演奏や録音が完璧なのは勿論
作品全体を覆うムードが尋常ではありません。
”教室に掲げられている博士たちの肖像、彼らが死体の上で仕事にとりかかろうとしている・・・”(ライナーノーツより)
およそ、このような(普通ではない)視覚的なイメージをもとに
曲作りをするジャズ・ミュージシャンは居ません。
ウェインだけの世界観です。
既にマイルス・デイビスのバンドメンバーになっていた時期の録音で、
これからの数年間、マイルスが唸るほどの名曲を
提供していくことになります。
70年代には人気グループ、ウェザーリポートで活躍。
でもバンド内では、ジョー・ザビヌルのほうが目立っていましたね。
この時期では珍しいソロアルバムのネイティブ・ダンサー(74年)は
ブラジル音楽の巨匠、ミルトン・ナシメントとの共演盤でした。
ウェインの作品のなかではもっとも親しみやすい1枚で
人気がありますね。
そして1980年代に入り、50代を迎えたウェインですが
ここから更に独自の WAYNE'S WORLD が
展開されることになるのです・・・
(続く)
タイは車大国なんです。
タイの人は家より先に車、です。
でも外国人の運転は、気をつけたほうがいいですよ。
出来ればしないほうがベター。
交通事故も多いし、実際知り合いのタイ人でも
(子供含めて)、悲惨なケース見聞きしてますから。
パタヤとかのリゾート地ではレンタルバイクがポピュラーで
気持ちよく飛ばしてる欧米人とかよく見かけますけどね。
気持ちは分かる、海岸沿いとか爽快感あって最高だろうね。
私の知り合い(日本人、その他の外国人)で車やバイクを常時
運転してる人も居るんですが、そういう人は
テクニックがあるんですよね。
同乗させてもらって、危ない感じが全くしない。
平均的なタイ人の運転技量よりはるかに上。
だから、OKな人はOKなんでしょう。
しかし、交通事故以外にも
色々面倒なことあるんじゃないかなあ。
そうはいっても生活上必要な場合もあるでしょうし、
(地方に行けば、車が無いと非常に不便なのはタイも同じ)
やむを得ず、という事態も起こりえるかもしれない。
そういう際には
どうぞ細心のご注意を・・・
「それで、どうやって旅してたんですか?」
先日、二回りほど年下の知人と
旅行について話をしていて、
そう聞かれました。
つまりネットで情報も集められない、航空券や宿の予約も出来ない~
そんな時代によく、個人で海外旅行なんか行けましたね、という質問。
~ギリシャ
行く価値があるか無いのか、決め手に欠けるだろう
行ってつまらなかったらどうするんだ
ということなんでしょうね。
そう、確かに昔は”行かないと”分からなかったんです。
ガイドブックはありましたけど基本、文字主体。
事前に得られる視覚的なイメージというのは非常に限られてました。
~フィリピン
だから、出かけたんですけどね。
分からないから、予想が出来ないから。
今は例えば、一軒のホテルについても膨大な量の画像、動画があるでしょ。
周辺の見どころとかMAPも超充実。
でもそれじゃ、行く前にもう”分かっちゃってる”じゃないですか。
だったらわざわざ身体使って
現地まで赴かなくてもいいんじゃない?
~エジプト
ネットの口コミより上だ、下だ
掲載情報が合ってる、間違ってる・・・
それを調べる調査員の出張みたいだよね、
旅行というよりも。
かと言ってあえて、それらの情報に目をつぶってというのも
いまや不自然。
旅人を受け入れる側も、もう意識や態勢が違うわけで。
ということで、やっぱり私の「旅」はもう
打ち止め、ですねえ。
あちこち行っておいて良かったなあ・・・
それは凄く得難い日々だったんだ、と今にして思うわけですが。
いやいや、
OLD WAVE の繰り言で、ごめーん、ごめーん
~アメリカ
トム・ウェイツのナンバーですが
良い仕上がりですね。
1952年制作の「おかあさん」
これは一家に一本の名作であります。
邦画の傑作は「七人の侍」や「切腹」「雨月物語」などでしょう。
この「おかあさん」には漲る緊張感とかスケールの大きさはありません。
しかし俗にいう”ウェルメイド”~構えはデカくないけど小粋に仕上げられた
逸品なのです。
主演は田中絹代
映画の冒頭シーン「うちのお母さんは小柄なので、柄の長い箒は嫌いなのです」
というナレーションからして、掴み良し。
一家はクリーニング屋さん、生活ぶりは楽ではありませんが
家族揃って、助け合い
暮らしています。
二人とも若い!
しかしお父さんと長男が亡くなってしまいます。
この映画が上手いのは、その辺りを長々と描かないところ、
そうするとウェットになり過ぎてしまいますから。
まさに”省略の美”ですね。
お父さんの知り合いだった男性(加東大介)が店を手伝ってくれるのですが
やはり生活は苦しく。
それにしても加東大介の演技は天下一品!
次女はやむなく親戚の家に貰われていくことに。
演じていたのは榎並啓子という人で、溝口健二の「山椒大夫」にも
出ていました。この娘の顔の表情とかも素晴らしいですよ。
貰われていった家では温かく迎えてくれるのですが、
どうしてもおかあさん~田中絹代のことが忘れられずに
おかあさんの絵を机の横に貼ろうとします。
でもそれでは新しいおかあさんやおとうさんに悪い・・・
そっと絵をはがして、机の中にしまいます。
素晴らしい名場面、後ろからのアングルというのが憎いですね。
こういう時に正面から顔を映してはアウトです、興ざめです。
この辺りが成瀬巳喜男たる所以ですねえ。
随所にお茶目なシーンも散りばめられていて
ベタベタした重さがないのも流石。
何十回観ても飽きませんよ。
未見の方は本編を是非是非。
ティシューが手許にあったほうがいいですね。