重厚な長編からライトな短編まで
幅広い作風の著者による
クスッと笑ってしまう
家~家庭をテーマにした作品集。
突然のリストラから主夫生活となった主人公
思いの外、家事は苦ではなく
「ここが青山」
妻が家出、残された夫は独身時代の感覚に戻り
マンションの調度は男の隠れ家に変貌していく
「家へおいでよ」
独立志向の夫、突然カーテン屋を開業
果たしてお客はやってくるのか
「夫とカーテン」
表題作は映画化もされて有名ですが
他の作品も ”らも節” 絶好調。
主人公のベース弾き、仕事場のキャバレーで幼馴染と再会
二人の男の人生ブルースが浮かび上がる
「えびふらっと・ぶるぅす」
あまりの忙しさに音を上げた小説家
クローン人間に代筆させようとするが・・・
「子羊ドリー」
海外で転戦中の日本人プロレスラー
次の相手は人間でなく、熊だった
「逐電」
現役医師でもある著者による
心臓移植で命を取り留めた若い男性
しかしその後の人生は幸福だったのか
「他生門」
ケアマネージャーの女性が遭遇する
あまりにも我儘で癖のある家族との攻防
「バナナ粥」
虫も殺さない優しい性格の看護師
勤務する病院の室内で大きな蜘蛛が出現
「クモの意図」
・・・
あっという間に数時間が過ぎていきます。
こういったテイストの作品を読むときのお供は
コーヒーでなく、日本茶や紅茶のほうがいいかな。
フィクションの世界は現実のそれよりも
時に(というかおよその場合)
面白くて素敵、ですよね。
怖すぎる、悲しすぎる
なんてこともありますけれど・・・