バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

オー! ミステイク

先日、出先で知り合いのタイ人と話していまして。

 

(いつものごとく)注意力散漫でボーッとしていた私の耳には

「ねえ、お酒今持ってる?」

と聞こえたのでした。

 

えっ?今ですか?

ちょっと無いですけど。

 

「そのバッグのなかに入れてないの?」

 

無いです。なにも。

 

「いつも持ってなきゃ。もう常識よ」

 

そ、そうですか。部屋のなかにはありますけども。

 

「ダメよ~、ダメダメ」

 

現在バンコクでは、飲食店内での食事や飲酒が禁止されています。

酒類をスーパー等で買うこと自体は問題ありませんので、

外出時にいつもビールやらアルコール類を持ち歩いていれば

路上で?飲めるでしょ、というアドバイスかと思ったのですね。

 

しかし、いくらなんでもそこまですることもなく。

ですんで、

 

あの~、飲むなら私

部屋に帰ってからにします。

冷蔵庫で冷やしたほうが美味しいですし。

と返したんですね。

そうしましたら、

 

「冷やす?そんな必要ないわよ・・・あなたね、もしかしたら

飲むアルコールのこと言ってるの? 私が言ってるのはアルコール消毒液よ!

喉に流し込む液体じゃなくて、手にかけるほうよ!」

 

と大爆笑、身をよじって笑い転げています。

 

あー、こっちのことね、携帯用のやつね。

 

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なんだ、だから話が通じないわけで。

しっかり話を聞いていなかった私が悪いんですけれど。

 

いや~、もうね

”じゃあ、荷物のなかに入れるとしたらどんな銘柄のビールがいいですか?

外で飲むのなら、どれが美味しい?”

と尋ねようかと思ってましたよ、ホントに。

 

それを言ったら

更に受けまくってましたが・・・

 

まあ、その女性は非常に真面目というか

潔癖なタイプの人だったので

喜んでもらっただけでも、良しとしましょう。

日々に笑いを・・・

 

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キリリと引き締まった演奏が続く愛聴盤、マイルス・デイビスの "E.S.P."

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マイルス・デイビスの最高傑作というと

”カインド・オブ・ブルー”(1959年)

の名が真っ先に上がるかと思いますが

”カインド~”で展開されたサウンド(聴く墨絵とでも形容できる)は

一期一会の世界で、その後に繋がる性質のものではありませんでした。

 

それと比べると、この"E.S.P"(1965年)は

この後数年間にわたって続く

マイルスの黄金時代のスタートとなるもので

起承転結の初めの一歩と言えますね。

 

E.S.P.

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マイルス以下

ウェイン・ショーター

ハービー・ハンコック

ロン・カーター

トニー・ウィリアムス

の超強力布陣

 

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この顔ぶれでの

スタジオレコーディングとしては初めてということもあるのか、

適度に端正で ”行き過ぎない”

良い塩梅に仕上がっていると思います。

 

以降、次々とジャズ史に残る作品が作られていくわけですが

通して聴けるバランスの良さは

このアルバムが際立っているのではないかと。

 

Agitation

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67年のライブ映像ですが、カッコええなあの一言。

 

アルバムジャケットの女性は

マイルスの(最初の)奥さんですね、たしか。

色合いが良い感じですね。

こういうセンスのジャケは(初期の頃の何枚かを除くと)

マイルスにはあまり無いので

より、爽やか感があって

部屋に飾っても威圧感がありません。

 

ぶっちゃけ

”ビッチズ・ブルー” や ”パンゲア

とか、たま~にしか聴き(け)ませんけど

頻度にしたら、多分マイルスの作品中

一番耳にしているのが

このアルバム~愛聴盤ということになりますね。

 

Eighty-One

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分からない、そのことを分かりながら観る映画 コーエン兄弟の ”シリアスマン”

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これはですね、厳しい~

観るのがある意味

難しい映画です。

 

舞台は1960年代(おそらく67年か68年あたり)の

アメリカの田舎町。

ユダヤ系家族の物語です。

 

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マイケル・スタールバーグは大学の物理学教師

いたって真面目で穏やかな性格です。

 

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ところが妻がいきなり離婚を切り出します。

 

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家に居候中の兄は警察に捕まってしまいます。

二人の子供もそれぞれに問題を抱えていて

マイケルは心中、穏やかではありません。

 

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ある学生は単位を金で買おうとして

現金の入った封筒をマイケルの机に置いていきます。

 

隣人とのトラブルも発生して

どうにもならなくなったマイケルは

ラビ(ユダヤ教の指導者)や弁護士のもとを訪れて

悩みを打ち明けるのですが・・・

 

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全編にわたって宗教~ユダヤ教に関する事項が

多く登場し、ヘブライ語も頻繁に使われます。

 

それらについての知識があれば

思わずニヤリ、あるいは爆笑する場面が

これでもかと(おそらく)詰め込まれているのですが

自分はそうではないので、受け止め方にズレがどうしても

出てきてしまうのですね。

 

しかし難解かというと、そうではなく

(さすがコーエン兄弟、そのあたりは抜かりがありません)

誰が観ても

ストーリーの進行についていけるようにはなっています。

 

登場人物の動きにコメディ性を持たせているので

見た目だけでも、面白いシーンが続きます。

(スタールバーグは控え目のロビン・ウィリアムスのような演技)

 

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しかしそれでも一筋縄ではいかないところがあって

大学の授業でマイケルが

シュレーディンガーの猫(方程式)を

講義するカットがあります。

 

コーエン兄弟が意味も無く映すわけはありませんので

物理学の知識も必要ということになってきてしまいます・・・

 

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思うに(分かっていない人間が言うのもなんですが)

この映画は、

寓話の積み重ね

なんですね。

 

映画の冒頭や

ラビの話す内容に

様々な寓話が含まれているのですが

マイケルに降りかかる様々な災難、

それは比喩やたとえ話ではなく

実際に起こっている事象であるのだけれども

それを含めて、人生は全て”寓話”で構成されているのだ

というメッセージがあるのではないかと。

 

では道徳的なオチが用意されているのかというと

(マイケル自身は極めて真っ当な人間であり、トラブルの原因は彼にはないように

見えます。マイケル自身もそう思っており、「俺はシリアスマンなのに!どうして、ど

うしてこんな目にあわなくてはいけないんだ」と叫ぶ場面が何回かあります)

残念ながらそうではなく、

バッドエンドを予兆させるエンディングになっているのが

これまたコーエンの真骨頂。

 

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マイケルは結局、生徒からの賄賂を受け取ってしまうのですが

不吉な雨雲が更なる混迷の世界を暗示しているように思えます。

 

使用されている楽曲

ジミ・ヘンドリックスやジェファ―ソン・エアプレインについても

触れたいところですが

キリがありませんね・・・

 

何回か観直してみても、やはり分からないでしょう、私には。

繰り返し観ると分かってくるというタイプの作品もありますが

それともまた違いますので。

 

でもまた、観てみよう・・・

罪作りな映画であります。

ジャケットからして普通でない、鬼才トッド・ラングレンの2枚 "LIARS" "STATE"

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これ、CDケース内側ですけど

なんか普通じゃないっすよね。

かなり癖がありそうな音楽が聴こえてきそうな。

 

ロック界の鬼才~全能の人

トッド・ラングレンの2004年発表のアルバムなんですが。

 

Truth

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うーん、やっぱ普通じゃない(いい意味で)

キラキラ全開のトッド節が炸裂。

この頃すでにトッドは50代半ばですが

60年代の頃と全く変わってませんね(いい意味ですよ)

 

Afterlife

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タイトルが ”来世~あの世” ですからね。

このアルバムは2000年以降のトッドの作品としては

個人的にはかなり好きな一枚なんです。

 

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もう一枚は比較的最近の”STATE”(2013年)

これも力の入った作品でした。

 

In My Mouth

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でもねえ、やっぱジャケが

普通じゃないっすね。

 

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このアルバムにはオーケストラと共演したステージの

ライブ音源がボーナスディスクで付いてるんですが

こちらは過去の有名曲も多く取り上げられていて

より親しめる内容です。

 

Wailing Wall

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初期のナンバーですが

なんと美しいメロディー!

あらゆるスタイルの曲を創り続けて

軽く半世紀越え。

 

まさに鬼才、いや巨人であります。

社会の不正を撃つ~幻の戦前映画 ”何が彼女をそうさせたか”(1930年)

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戦前の ”傾向映画”

(左翼的思想、メッセージが込められたという意味合い)

の代表作で、封切り当時

商業的にも大成功した1本です。

 

しかし火災によるマスターフィルム消失で

その後数十年間は、その名前だけが知られており

1990年代になって

ロシアで奇跡的にフィルムが発見されるという

数奇な運命を辿りました。

 

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ある少女(14歳という設定、高津慶子)は孤児となり

親戚の家に身を寄せます。

 

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しかしサーカスに売られてしまいます。

 

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その後も職を転々とするのですが

生活は苦しいまま。

 

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サーカス時代に優しくしてくれた同僚の青年に再会、

二人で過ごす幸せなひと時もあったのですが

 

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未来への希望を持てない二人は

海岸で入水自殺を図り

高津だけが生き残ります。

 

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保護施設(教会)に送られた彼女は

信仰に救いを見出そうとします。

しかし、そこにも安住の地はありませんでした。

追い詰められた彼女が取った行動とは・・・

 

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脚本が練り込まれており、完成度の高い作品ですが

残念ながらオリジナル版の40%近くが失われており

ストーリーの主要なパートを観ることが出来ません。

(可能な限り、字幕で補正されています)

 

私の手許にあるのは

紀伊国屋書店のエディションで

製作当時のいきさつやフィルム発見~復元の過程を

詳細に綴ったリーフレットが付いています。

 

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1930年というと

今から100年近く前になりますので

遥か昔のようにも思えますが

既にこの頃には日本でも

多数の映画が製作されていて、

映画界は活況を呈していました。

 

今観ることの出来る作品はごく一部ですけれども

そのレベル、完成度の高さに驚くはずです。

この映画も

もし完全版が残っていたら、更に評価が高くなったでしょうね。

世界のどこかの倉庫の奥に

ひっそりと眠っていないでしょうかね・・・

 

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しょうがないくらいにガリが好き

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さて、これはなんでしょう。

 

生姜の甘酢漬け、

いわゆるガリですね。

 

スパイス&薬味の類が好物な私ですが

ガリもそれに漏れず。

鮨屋さんでは凄く食べてしまいますね、

回転寿司だと5皿分くらい平気。

(数え方が変ですが)

 

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業務用かと思うんですが、800グラムという大容量。

味のほうはどうかしら・・・

うん、充分オーケー

美味しく頂けます。

 

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冷蔵庫にハム(勿論、唐辛子がいっぱい練り込んであるタイ仕様)

があったので、合わせて。

これはこれで悪くないですね。

男一人の部屋飲みのつまみなら

何の問題も無し。

 

ちなみにタイの人はこのような食べ方はしませんよ。

というか日本人もしませんよね、普通の人は。

 

私、牛丼の時も

紅ショウガを無意識のうちに盛ってますね。

比率がね、肉より多いくらいのほうが旨いので。

極論すると肉が無くてもいいかも。

それじゃあ、もはや牛丼じゃないけれど・・・

 

MILES DAVIS    Gingerbread Boy

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マイルスの ”ジンジャーブレッド・ボーイ”

一番キレキレの時ですね(1967年)

酒とショウガが益々、すすむこと

すすむこと。

つかの間コロナを忘れるサンクチュアリ

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強力な新顔が加わって

更に戦力増強中のコロナ連合軍、

どこに潜んでいるのか分からないというのが

これまた困りますよね。

 

そこで

 

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もう、至る所に

掲示や張り紙が。

 

デパートやコンビニ、電車の改札、エレベーターやトイレのなか・・・

マンションやアパートのエントランス~ロビーにも

何種類もびっしりと注意書きが。

 

いや、いつ何時も気をつけなくてはいけない

それは分かっているんですが

ちょっとね、食傷気味に感じる時もありますよね。

もう、かなり長期戦になっていて

交代の許されない私たち人類チームは

かなり疲労モードですし。

 

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さて、路地裏奥にひっそり佇む

築古の拙コンドミニアム

 

なんとですね、ないんですよ。

”体温だいじょぶ?”

”距離取って”

”面と向かって会話すんじゃないよ”

云々のポスターが。

一枚も貼ってない。

どこにも。

 

だから、コロナの前とまったく変わらないんですね。

敷地に一歩入ってしまえば。

 

なんか、ホッとするんです。

スタッフさんたちも、

もう何年も同じ顔触れで馴染んでますし。

 

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毎朝の無料洗車サービスも欠かさず、

共用部分の清掃もとても丁寧。

 

コロナ流行以後って

日常の風景も変わってしまったでしょう?

私たちの意識や行動も・・・

変わらぬそれが身近にあるのが、嬉しいんですよ。

 

願わくばこの平穏が続きますように。

 

すべての国に暮らす人々の穏やかな日々が

早く訪れますように。

 

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