バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

残り30分で失速が残念、前半1時間は傑作カルト ”チャーリー・バブルズ”

 

2019年に亡くなったイギリスの名優

アルバート・フィニーの主演&監督作品(1968年)

 

商業的には大きくこけてしまったようですけれど

ストレンジなテイスト満載の

マニアがウシシと喜ぶシーンがてんこ盛りです。

 

 

チャーリー・バブルズ(アルバート・フィニー)は

ベストセラー連発の流行作家。

追っかけがいるほどの有名人ですが

生きることに虚しさが募るばかり。

ひたすらバカ騒ぎを繰り返す毎日です。

 

(チャーリーが暮らす豪邸には室内モニターが多数設置)

 

 

ある日チャーリーは別れた妻と子供に会うため

自らハンドルを握るのですが

道中、奇妙な人物に次々と出くわします。

 

(子供に手をひかれているのは人形)

 

 

ロンドンを後にして、舞台はマンチェスター~ダービシャーへ。

 

 

ここまでの約一時間はとても良いのですね。

登場人物が皆、どこかズレていて

ロードムービーとしても秀逸です。

 

 

しかし、別れた妻の家へ着いてからの後半30分がちょっと・・・

それまでのモンド風味から「普通の映画」になってしまうんです。

(子役に笑いを取らせる役割を与えているのですが、少々厳しい)

 

元妻には演技派のビリー・ホワイトロー

(そして実際、実に上手いのですが)

それまでの流れからすると、

もうちょい人物造形を ”極端” にしてもよかったのでは?

 

 

さてこの映画には

チャーリーの秘書のアメリカ人学生として

ライザ・ミネリが出演しています。

既に舞台やテレビでは活躍していて、

映画でのデビュー作となりますね。

 

当時22,3歳くらいでしょうか。

しかし、それにしても

お母さんに似ていますよね。

ルックスだけでなく声(&話し方)が

そっくり。

 

Judy Garland&Liza Minnelli   From The Judy Garland Show , 1963.

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この映画での登場シーンは途中までですけれど、

もうちょい引っ張るか

あるいはラストに姿を再度見せる

手もあったような。

 

さておき、モンティパイソン系が好きな方なら

観て損はありませんので

是非本編のほうをどうぞ。

 

Charie Bubbles   Trailer

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あまりにカッコよすぎて、あざといような気もしてしまうベルトルッチの ”暗殺の森”

 

ベルナルド・ベルトルッチ監督の

1970年作品。

 

およよ~と思わず叫んでしまう

圧倒的な映像世界がのっけから

これでもかと。

 

 

凝りに凝ったショットの連打です。

 

 

しかしなんというか

ちょっとやり過ぎかなあ~

と個人的には。

 

人物配置&その出入り(動線

手前の小物&背景に至るまでが

綿密に計算され”過ぎて” いて、

却って気になっちゃうんですね・・・

そこに注意がいってしまうのです。

 

 

タッチは全然違うんですけれど、

黒澤監督の後期作品群

”影武者” とか ”乱” を観た時にも

似たようなことを思いましたが。

 

 

後半登場のドミニク・サンダ

当時日本でもCMなどに出ていて

人気がありましたね。

 

 

しかし、後年の映画に与えた影響は大きかったと思います。

色々な作品で、この映画にインスパイアされたであろう

シーンを見かけますもんね。

 

あと、異性間&男性間&女性間の

セクシャルな結びつきをそれぞれ

かなり明確に打ち出しているところも

特徴ですね。

 

Il conformista    Trailer

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ここまで演るのは私だけ~女優魂爆発ベティ・デイヴィスの ”痴人の愛”

 

痴人の愛” といっても

谷崎潤一郎のそれではなく

(若干、内容は似ているのですが)

1934年のアメリカ映画(監督ジョン・クロムウェル

 

ストーリーはシンプル。

真面目で堅物一直線の

医学生レスリー・ハワード)が

レストランのウェイトレス(ベティ・デイヴィス)に

会ったとたんに一目惚れ。

 

 

骨格標本がデイヴィスに見えてしまいます。

 

 

しかしデイヴィスは自由奔放で

男出入りが激しく、ハワードは次第に

彼女に幻滅を覚えていくようになります。

 

 

幾多の男に弄ばれたデイヴィスの心は荒廃、

精神状態が不安定に。

 

 

ある日、二人は些細なことから言い争いになり

遂にデイヴィスが興奮状態に。

絶叫しながら、室内を滅茶苦茶にしてしまいます。

ハワードはただ茫然と立ち尽くすのみ。

 

 

ハワードの部屋を飛び出したデイヴィス

更に生活は乱れる一方で

やがて病魔に冒されてしまいます。

 

 

一方ハワードは

美しく純真な心根の女性(フランシス・ディー)と出会い

相思相愛の関係に。

 

 

その頃、薄汚れたアパートの一室で

デイヴィスの命は尽きようとしていました・・・

 

もうひたすらベティ・デイヴィス

体当たり演技に唸らせられる80分間。

当時、これだけの汚れ役をこなせたのは

この人だけでしょう。

 

そういう意味では60年代以降、

ホラー映画の常連ゲストになっていった

素地は既に十分あったのだ、

ということにもなりますね。

 

Scene from "Of Human Bondage"

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クインシー・ジョーンズの音楽とティファニーの宝石がキラキラ ”蜃気楼”

 

グレゴリー・ペックとダイアン・ベイカー主演の

サスペンス映画(監督・エドワード・ドミトリク/1965年公開)

 

 

ヒッチコックを思わせるショットですね。

 

 

ペックは最近2年間の記憶を失っています。

そして怪しい男たちに命を狙われる羽目に。

私立探偵(ウォルター・マッソー)に助けを求めるのですが・・・

 

 

ペックの行く先々にベイカーが姿を現します。

彼女は味方なのか敵なのか・・・

 

ニューヨーク各地のロケーションが美しい。

しかしこの映画の最大のポイントは

音楽~サントラなんですね。

 

A Shot In The Park (From "Mirage")   Quincy Jones

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後にマイケル・ジャクソンの一連の

メガヒットをプロデュースした

クインシー・ジョーンズが担当しているんですが、

映像に完璧にフィットしてるんですね。

 

ただ単に

「このシーンにはこんな感じのメロディーでいいだろう」

とかではなくて、

役者のセリフや動作の細かい所作ひとつひとつに

キッチリ合わせてるんですよ。

非常に細部に拘って音を付けている。

お見事、の一言です。

 

 

オープニングタイトルには

ティファニーの名も。

 

 

で、これがまた

監督さん

異常に気を遣って撮っています。

 

 

暗闇でピカピカ

光るんですね(笑)

 

 

イカー、取っ変え引っ変え

大車輪です。

 

 

ペックのアパートのシーンなんですが

ブレスレットがしっかり映るように

イカーの腕が不自然に動くんですよ。

これもまた、プロの仕事なんでしょうね・・・

 

サスペンス映画としては

中の上くらいの出来ですけれども

音楽を聴くために

観る価値のある一作ですね。

 

Mirage   Trailer

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鍵盤はハートのなかにある~素晴らしき技巧派ピアニスト RENEE ROSNES

 

リニー・ロスネス

1962年、カナダ生まれのジャズピアニスト。

 

現在に至るまで20枚以上のリーダー作があり

大物ジャズメンとの共演歴も多数ある名手なんですが

実に上手い人ですね。

 

特にデビュー当時、1980年代後半(まだ20代半ば)の

プレイが凄いんですよ。

 

I HEAR A RHAPSODY

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手元、見てませんよね。

共演者のプレイを注意深くチェックしてるか

目を瞑ってるという。

それでいてこれだけ流麗に弾きこなせる・・・

 

Emily

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ビル・エヴァンスに捧げた

トリビュート盤に収録されたナンバーですけど、

天国のエヴァンスもにっこり微笑んでるに違いない

素晴らしい仕上がり。

 

 

この人は短期間ですけど

ウェイン・ショーターのツアーバンドに居たこともあって

そこでのプレイも強烈でした。

一曲15分とか20分超、天才ショーターに臆することなく

超絶テクを披露してますね。

(残念ながらオフシャルリリース無し)

 

90年代以降の作品も勿論、高クオリティなんですけど

ちょっと似たようなフォーマットが多くて

今一つ、デビュー当時の輝きに欠けるような・・・

 

Diana     Renee Rosnes & Wayne Shorter

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ウェインとのデュエット曲。

シンセでバッキング付けていますけど

ウェィンの曲調にぴったりですね。

 

うーん、(ウェインが元気な時に)

この路線でフルアルバムを出して欲しかった

と切に思いますね。

 

 

Never Will Marry    with Bill Charlap

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(ビル・チャーラップと組んだ2010年作。これは名盤!)

よし!後半に盛り上が・・・らないじゃないか ピーター・フォークの ”ブリンクス”

 

ウィリアム・フリードキンの1978年作品なんですが

これはちょいと残念な仕上がり。

 

 

舞台はボストン。

下町のカフェの主人ピーター・フォーク

6人の仲間と共に、警備保障会社の金庫から

大金奪取を計画します。

(実話ベース)

 

 

基本、ピーター・フォーク以外のメンバーは

イマイチ頼りにならないのですが

 

 

念入りに下見を重ねて

 

 

作戦は成功!

 

大喜びの面々ですが

警察の捜査の手が迫ってきます。

 

 

遂には二人が捕まってしまい

 

 

署内で徹底的に揺さぶりをかけられます。

さてさてピーター・フォークをはじめ

残りのメンバーは逃げおおせることが出来るでしょうか・・・

 

というのが大筋です。

 

なんか面白そうでしょ?

期待出来そうですよね。

 

でも尻切れトンボなんですねえ。

 

まずピーター以下、全員がミドルエイジなんで

スピーディーなアクションが無いんですね。

また、仲間の6人を演じる俳優さんは

個性的なメンツが揃っているんですが

各自のキャラクターやバックグラウンドが描き切れていないのも残念。

あと20~30分長ければ、随分違った印象になったと思いますね。

 

 

ピーターの奥さんには

ジョン・カサヴェテスの ”こわれゆく女” でも

夫婦役だったジーナ・ローランズ

 

しかしこちらも必然性の無い配役で

ローランズも芝居の仕様がありません。

もっと話の本筋に絡ませればよかったのに。

 

やはりフリードキン

フレンチ・コネクション” と ”エクソシスト” で

全てのパワーを出し切ってしまった感強しですね。

 

あっ、でもサービスショットがあります。

いかにもエクソシスト風のマスクなんですね、

金庫破りの時に(笑)

 

 

The Brinks Job   Trailer

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いろいろあるよ いろいろね

 

少し前のことですが

バンコク市内の

とある国の大使館というか領事部へ。

ちょっとした証明書の類をお願いに。

 

混んでいるかしらと思いきや

数えるほどしか人が居ません。

 

で、その証明書発行のために提示が必要な

書類を幾つか提出して

受け取りを待っていたわけです。

 

程なくして呼ばれまして

「はい、証明書のほうは明後日にお渡しします。こちらの引換証をお持ちくださいね」

と。

 

 

即日ではないのね・・・

てっきりそう思い込んでいました。

やはりコロナの影響なのでしょうか、

以前はその日のうちに貰えたような記憶が。

 

遠方から来る人ですと

ちょっと手間ですよね。

開館時間も午前午後合わせて

4時間だけですし。

 

 

今回、別に急ぎということではなかったので

構わないのですけれど

でもなかにはそういう方(ケース)も多いと思うんですよね。

 

例えば外国からタイに来て

なにがしかの証明書をゲットしたうえで

タイのお役所等へ出向く~

なんて場合、

 

木曜日に申請しても

受け取りは翌週の月曜日になると。

なので余裕をもってスケジュールを組まないといけませんね。

(タイ→国外の場合も同じくですよね)

 

 

あとこれは以前から

ちょっと気になっていたんですけども

スペースが狭いんですね、かなり。

だから丸聞こえなんですよ

各申請者と職員さんのやり取りが。

結構ね、プライベートな事項とかも耳に入ってきちゃう。

この辺りはね、是非

ご一考頂ければと。

 

(セキュリティの方含めスタッフの皆さんは、大変フレンドリーで優しいのは素晴らしいです。屋外で長蛇の列なんてことも珍しくないですからね、国によっては)

 

いろいろ節  植木等

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