バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

書籍

チャップリン&セッシュウ

2005年に発表された ”五月十五日のチャップリン”(川田武・講談社文庫) という歴史ミステリー小説。 かのチャップリンとヒトラーが 若き日にオーストリアのウィーンで 出逢っていたという場面からスタート。 (ヒトラーは実際に売れない画家として不遇…

名優の役者魂を見事に引き出した出色のインタビュー集

これは素晴らしい一冊。 「役者は一日にしてならず」春日太一著・小学館 芸能人へのインタビューってよくありますよね。 される側も慣れたもので 大体披露するエピソードが決まってるんですね。 適度にお笑いも交えて 予定調和でジャンジャンのことが多い。 …

見果てぬOKINAWA

ここ数年 沖縄の名前を耳にする機会が多いような。 コロナであったり自然災害であったりと あまり喜ばしいトピックではありませんが。 ”ひめゆりの塔” ”特攻 最後の証言” 私は一度も沖縄に行ったことが無く あるのは映画や書籍から得た ごく限られたイメージ…

私は吸血鬼じゃなくて吸血美人なのよ~"MARY, MARY, BLOODY MARY"

これはちょっと毛色の変わった ホラー/サスペンス映画ですね。 アメリカとメキシコの共同製作で 監督はメキシコ人のファン・ロペス・モクテズマ 俳優陣は米&メキシコの混成チームです。 主演のクリスティナ・フェラーレは メキシコに住んでいるアメリカ人…

夢のハワイ

2011年に亡くなった俳優の児玉清、 著作のなかでハワイについて記された文章があります。 ”特に興味が無かった、というよりも田舎者が行く観光地だと馬鹿にしていた。ところが行った途端に一目惚れ。それ以降20年間にわたって訪れたものだ・・・” ちな…

幾つものジキルとハイド

”ジキル博士とハイド氏” あまりにも有名な小説(ロバート・ルイス・スティーヴンソン/1884年)で、 映画化も相当数なされています。 なかでも評価の高い作品が 1920年の ”狂へる悪魔” (監督/ジョン・S・ロバートソン) ジキル博士(ジョン・バリ…

みうらじゅんがセレクトした松本清張の20作品

こちらは雑誌「ケトル」(太田出版/現在は休刊)の 松本清張特集号。 オールカラーで60頁以上の 力が入った編集ですが、 清張の熱狂的ファンである みうらじゅんのロングインタビューが 基調になっています。 氏は推理モノではない系統の作品を 20編取…

OH ! マニアック~映画のロケ地探訪

こちらは 「東京映画地図」宮崎祐治著・キネマ旬報社 という著作。 日本映画の東京でのロケ地を詳細なマップで紹介した労作です。 (イラストがまた素晴らしい) 映画好きの人なら いつまでも飽きることなく 眺めていられるでしょう。 外国映画に登場する日…

評論色々、成瀬色々

もう亡くなられましたが 双葉十三郎という映画評論家 生涯に2万本を超す映画を観たことで知られています。 多くの著作を残されていて 私も大変に参考にさせてもらっているのですが 「日本映画 僕の300本」(文春新書)で 名監督、成瀬巳喜男の7作品が紹…

記憶の迷宮

記憶って、 記録を取ってる人は しっかり繋がってるんですね。 例えば過去に起きた出来事が 時系列で想い出になってるんですよ。 そんなことがあって その次にあんなことがあって 結果、こんなになって みたく。 知り合いで 日々の出来事、びっしりメモして…

あまりにも清楚な二十才の司葉子に思わず襟を正す ”くちづけ”

なんと清らかな。 司葉子のデビュー間もない頃(1955年)ですが、 落ち着いた知的な印象もありますね。 故郷に帰省中の大学生、司。 高校生の妹には中原ひとみ。 司の同級生(恋人)である 小泉博がやってきます。 司のことが気がかりな両親(藤原鎌足・…

もはや映画ではなくてデザイン帖~小津安二郎の "お早よう”

小津監督の1959年作品。 原節子の ”紀子三部シリーズ” などと比べると 地味な存在で あまり話題に上ることもありませんね。 他作品では脇にまわる 沢村貞子、高橋とよ、長岡輝子、三好栄子らがメインになっていて ある種のスピンオフなんですね。 なので…

タイムカプセルに入れる ”SUGOI” MANGA

近年、欧米での評価が高まりつつある つげ義春の諸作。 月刊誌の「ガロ」でほぼ毎月 怒涛の勢いで傑作が連載され始めるのが 1967年の春からですが なかでも翌年の ”ねじ式” は そのシュールな作風によって つげ=ねじ式 的な捉え方をされることも多いよ…

「戦闘」を記録しない戦争映画、亀井文夫の ”戦ふ兵隊”

1930年代中頃から太平洋戦争中にかけて 戦争をテーマとした映画が数多く製作されました。 その多くはいわゆる ”戦意高揚” 映画なのですが、 なかにはその範疇に収まらない 少数の作品があります。 亀井文夫監督の ”戦ふ兵隊”(1939年/オリジナルは…

動と静、二人の女性シンガー逝く TINA TURNER & ASTRUD GILBERTO

ティナ・ターナーが亡くなりましたね。 (November 26, 1939 – May 24, 2023) ロックンロールの女王 という称号があったようですが むしろ、ど根性クイーンといった印象があったりしましたね。 "Nutbush City Limits " Tina Turner www.youtube.com ラーメ…

母の愛はいかなる権力や宗教よりも強し~二人のMOTHER

1926年のソ連映画 ”母” 前年のアイゼンシュタインの ”戦艦ポチョムキン”と並んで ソ連映画創成期の代表的作品と言われています。 (監督/フセヴォロド・プドキン) 原作はゴーリキー 冒頭にレーニンの言葉が映し出されたりするので ちょっと身構えてし…

途中下車は池袋

東京に居た頃、 1990年頃から2000年代前半にかけて 乗り換え駅が池袋だったんですね。 で、地名の響きからして あんまりイメージが湧かないかと思うんですが 音楽と書籍の一大宝庫だったんですよ。 (当時はね) 新譜中心の大型店舗だと タワー、HMV…

「人間置き換え」映画の定番、”ボディー・スナッチャー/恐怖の街”

これはよく知られた作品ですね。 舞台はカリフォルニア州のとある町、 クリニックを開業しているケヴィン・マッカーシーには 素敵な恋人(ダナ・ウィンター)が居ます。 ところが町の住人たちの様子が 段々と変になっていくんですね。 以前のような陽気さ、…

過去も未来も地下鉄の闇で、一人生きる

おっ?これは期待できる滑り出しだ。 スタイリッシュなタイトルバック うんうん、良い感じ。 さあ本編がスタートですね あっ、なんかダメな気配が。 別の人が撮ってたのかな・・・ まあ日本語タイトルが ”地獄のサブウェイ” ですからねえ 期待しすぎるほうが…

好物が寿司! お茶目な宇宙人、その名は ”ウニトローダ”

1966年放送の ”ウルトラQ” 円谷プロが手掛けた空想特撮シリーズの 記念すべきテレビドラマ第一作。 その後、何回もリメイクされていますが やはりオリジナルの持つ魅力には 正直 なかなか及ばない・・・ そんななかで 2004年製作の ”ウニトローダの…

AFRICAN STRING

バンコクの古本屋で買った中古本 ”ホット・ゾーン” (リチャード・プレストン著、原書は1994年発行) というノンフィクションを読んでいたんですね。 前半の舞台は主にアフリカです。 丁度飲んでいたコーヒーの原産国がルワンダ うん、美味しいですね。 …

よーし、よしよし by ムツさん

ムツゴロウこと 畑正憲さんが亡くなりましたね。 80年代に放送されたテレビシリーズが 圧倒的にポピュラーで 知らない人は誰も居ないくらい。 (山本圭のナレーションがこれまた素晴らしくて) でも自分は当時、ちょっと違和感があったんですね。 というの…

一冊の本から始まる無限の読書旅行~”愛情はふる星のごとく”

世に ”ゾルゲ事件” として知られるメンバーのなかでも 最重要人物の一人だった尾崎秀実。 逮捕後の獄中から妻子に送った書簡集です。 様々なバージョンがあるのですが 私の手許にあるのは 昭和35年(1960年)の カッパブックスの初版。 保存状態も良く…

淡島千景のいきなり水着デビュー ”てんやわんや”

渋谷実監督の1950年作品。 淡島千景の映画デビューとしても よく知られています。 戦後間もない頃で 女優がセパレートの水着を着ているだけで 大きな話題を呼んだようですね。 淡島千景は宝塚出身でしたので 「別に恥ずかしくなかったですよ」 と後のイ…

オー・マイ昭和な二人の漫画家 つのだじろう&古賀新一

ある程度の年齢の方で ”恐怖新聞” とか ”うしろの百太郎” を読んだことがない、 なんて人は居ないんじゃないですかね? それほどポピュラーでしたよ、1970年代に。 コックリさんとかやりませんでした? 学校で。 で、教師に怒られたりとか禁止令とか出た…

ジンジャーとマリリン

先日、マリリン・モンローの関連本を読んでいたら 「ノーマ・ジーンは青春時代、ジンジャー・ロジャースの大ファンだった。後年、このアイドルと『ウィー・アー・ノット・マリード』(1952)、『モンキー・ビジネス』(1952)で共演した」 という一…

デヴィッド・クロスビー逝く~俺の心の内は俺にしか分からないのさ

ジェフ・ベックにしろ 大物アーティストの訃報が続きますね。 デヴィッド・クロスビーといえば バーズ クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング という二大スーパーグループに在籍していて 知名度は抜群。 ただバンドのなかの立ち位置というかポジションは…

今観るとお気楽バラエティ路線? 古典SF映画 ”地底探検”

"JOURNEY TO THE CENTER OF THE EARTH" 1959年のSF/アドベンチャー路線の大作です。 原作はかのジュール・ヴェルヌの ”地底旅行” 小説が発表されたのが1864年ですから およそ100年後に映画化されたことになりますね。 (監督/ヘンリー・レヴィ…

赤塚不二夫曰く、最高の映画はなんといっても ”駅馬車” なのだ!

天才漫画家、赤塚不二夫は 熱狂的な映画マニアとしても知られていますが 氏の著作のなかで 再三言及されているのが ”駅馬車”(監督/ジョン・フォード 1939年製作) 氏の熱い思いが伝わってきますね。 映画史に燦然と輝く この名画の魅力を改めて 見てみ…

「お嬢さん」から「お母さん」へ~キャリア後期の原節子

日本映画史上、最高峰の女優といえば それは原節子でしょう。 特に小津安二郎監督とのコンビネーションは あまりに完璧で、 評論家の研究本や関係者の著作なども 膨大な数に上ります。 海外各国でも詳細な言及が為されていますし。 今日はそんな原節子の ”齢…