音楽や映画って2通りに楽しめるような。
ただ聴いて、ただ観て、それでも充分OK。
技法的な部分、パフォーマーのバックグラウンドを知ってから
というのもまた興味深い。
ところが絵画の世界というのは
”ただ鑑賞する”というわけにはいかない。
それでは、作者の意図が全く掴み取れないような
気がするんです。
例えば ブリューゲルという高名な画家がいますね。
晩年の作品に「絞首台の上のカササギ」というのがあります。
これをですね、何の予備知識も無く見た場合、
絵のあちこちに込められた”サイン”が全く分からない
なので、受け止めようにも受け止められないんですね。
そもそも中央にあるのが
絞首台だというのは、絵だけからでは分からない。
確かに鳥がとまっているけれど、カササギの意味するところが
”密告者”であることなど
普通は知りませんから。
作者はただ風景を描いているわけではないでしょう。
幾つもの寓話がこの絵の中で
展開されているはずです。
それを理解するには相当の”事前学習”が要求されるわけで、
本、音楽、映画と比べると
ハードルが非常に高いなあ、と怖気づいてしまうのです。