バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

生きることとは何ぞや~アシュラに描かれた世界

確か小学6年の頃でしたか、

「生存者」という本を読んでいて。

 

1972年のアンデス山脈での飛行機遭難事故についての

ドキュメンタリー、つまり実話です。

そこで描かれているのは先に死んでいった仲間の肉を食べる

~生きるために

という非常にシリアスな内容でした。

後に何度も映像化されています。

 

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人肉食、ということでいえばジョージ秋山の「アシュラ」(1970~71年)

も衝撃的な内容。

大飢饉に襲われた平安時代が舞台ですが、こちらでは仲間でなく、

実の親が子供の肉を、子が親の肉をという

更に極限の世界が展開していきます。

 

しかも事故や病気で亡くなった人の、

ではなく、肉を得るために

能動的に~つまり家族間で殺人を犯すのです。

 

これが少年誌!(週刊少年マガジン)に当時連載されていたというのが凄いですね。

普通に子供たちが読むものですよ、どこでも売っているし。

今なら絶対にあり得ないでしょうね、即発売差し止めになりそうです・・・

 

私はリアルタイムでは知らずに

比較的最近、単行本(文庫本)で読みました。

 

前述の「生存者」もそうなんですが、ただ単に悪趣味というか

グロの世界ではないんですよね。

(アシュラの絵は確かに強烈ですが~特に冒頭部分)

 

作者は読者に問いかけているのですね、これは現実にあったことなのだ、

あなたはどうそれに向かい合うのかと。

信じる宗教をもって、それとも理性によって?

 

それはひいては”組織的な”人間と人間の殺し合い

今も止むことのない戦争について

考えるということにも繋がるのでしょうね・・・