バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

2020年の年明けは小津監督の「晩春」を観返しながら・・・

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明けましておめでとうございます。

 

日本のみなさまはおせち料理など

召し上がっているのでしょうか。

私は十数年、縁遠いような気がいたします。

 

そこで少しでも日本情緒ということで

小津安二郎の「晩春」(1949年)を観ております。

 

この作品は非常に評価が高く、監督の全キャリア

戦前~戦後を通しての最高作に推す人も多いようですね。

 

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戦後の小津の作品としては、野外ロケシーンが多く

それが画面に広がりをもたらしていますね。

イメージでいえば小津映画というと、室内の場面を

圧倒的に思い浮かべるような気がするのですが、その意味でも

他作品には無いスケール感があるように思います。

 

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(父親の友人の女性に嫉妬して、いきなり駆け出していくシーン)

 

ちょっと驚くのは原節子の表情と行動で

役の設定としては婚期を逃した一人娘、ということですから

ある程度の年齢になっているはずですが

それより遥かに年下~ほとんど少女、ティーンエイジャーの如き

に表現されています。

 

そういう意味ではかなりエキセントリックな女性象ですね。

もし実際にこのような女性が近くにいたならば

かなり奇異に映るはずです、周囲の人から見ると。

 

父親(笠智衆)との関係性をどう捉えるかについては、

評論家のあいだでも意見続出のようですが・・・

 

他の出演者では杉村春子の達者な演技、

それに三宅邦子の美しさが印象的です。

 

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映画の冒頭に円覚寺の茶席のシーンがありますが

こちらは昨年、帰国した際に訪れたときのものです。

 

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鎌倉を舞台にした映画には成瀬巳喜男監督の

これまた超絶名作「山の音」(1954年)があって

そちらも原節子主演なのですが、

またあらためてゆっくり観てみることにしましょうか。

 

では本年がみなさまにとって

良い1年でありますように。

風邪などに気をつけてお過ごしください。