明けましておめでとうございます。
日本のみなさまはおせち料理など
召し上がっているのでしょうか。
私は十数年、縁遠いような気がいたします。
そこで少しでも日本情緒ということで
小津安二郎の「晩春」(1949年)を観ております。
この作品は非常に評価が高く、監督の全キャリア
戦前~戦後を通しての最高作に推す人も多いようですね。
戦後の小津の作品としては、野外ロケシーンが多く
それが画面に広がりをもたらしていますね。
イメージでいえば小津映画というと、室内の場面を
圧倒的に思い浮かべるような気がするのですが、その意味でも
他作品には無いスケール感があるように思います。
(父親の友人の女性に嫉妬して、いきなり駆け出していくシーン)
ちょっと驚くのは原節子の表情と行動で
役の設定としては婚期を逃した一人娘、ということですから
ある程度の年齢になっているはずですが
それより遥かに年下~ほとんど少女、ティーンエイジャーの如き
に表現されています。
そういう意味ではかなりエキセントリックな女性象ですね。
もし実際にこのような女性が近くにいたならば
かなり奇異に映るはずです、周囲の人から見ると。
父親(笠智衆)との関係性をどう捉えるかについては、
評論家のあいだでも意見続出のようですが・・・
他の出演者では杉村春子の達者な演技、
それに三宅邦子の美しさが印象的です。
映画の冒頭に円覚寺の茶席のシーンがありますが
こちらは昨年、帰国した際に訪れたときのものです。
鎌倉を舞台にした映画には成瀬巳喜男監督の
これまた超絶名作「山の音」(1954年)があって
そちらも原節子主演なのですが、
またあらためてゆっくり観てみることにしましょうか。
では本年がみなさまにとって
良い1年でありますように。
風邪などに気をつけてお過ごしください。