子供時分の話です。
学校から帰宅後
”今日の夕飯は?”
しゃぶしゃぶ、だと。
おお、それはご馳走だ。
いさんで食卓に駆け付けると
そこには豚肉を並べた皿が。
えっ?牛肉じゃないの?
期待していたというか、そう決めつけてしまっていたこともあって、
かなり酷い言葉を母親にぶつけてしまいました。
こんなのいらないよ、とか。
昔はね、牛肉ってそんなに食べられなかったんですよ。
今と違って。
だからガッカリしたんでしょうね、その度合いが大きかったわけです。
でもこれはアウト、完全に✖ですよね。
絶対にやってはいけない。
今なら勿論分かるわけですが、
しかし子供だったから許されるというものでもない。
母は背を向けて、黙ったままでした。
多分泣いていたと思います。
自分の大罪、完全なる100%悪ですね・・・
そしてそれから随分経って、
実家を離れてから月日が流れた頃に
母親となにげに話をしていたら
「私は料理を作ることが好きではなかった」
と。
ニュアンスとしては、あまり凝った料理を作れなかった
という言い方でしたけれど
それを聞いて、また衝撃というか
非常に申し訳ない気持ちがこみ上げてきました。
母親は、好きでも得意でもない作業を
ずっとずっと家族のために
長年続けてきたわけです。
考えてみれば全ての女性が
料理好きというわけでもないし、その必要も無いわけです。
でも世の多くの女性は当たり前のように
毎日毎日、それを要求される。
そして、食べる側の
賞賛、感謝の気持ちは
とても十分とは言えないわけです。
矢野顕子のこの曲を聴くと
そのたびに思い出しますね、
40数年前のことを。