チャップリンの戦後第一作
「殺人狂時代」(1947年)
ここではお馴染みの山高帽、ステッキ、タキシード姿は
まったく姿を消しています。
チャップリンが演じるのはなんと
連続殺人鬼なのです。
30年以上勤続した銀行を解雇されたチャップリン、
カフェで職場の同僚と久しぶりに邂逅。
どうやら金回りは非常に良いようです。
世界的な不況下で、どうしてそんな大金を持つことが出来たのでしょうか。
実は裕福な未亡人をターゲットに、次々と保険金殺人を犯していたのです。
彼には守らなければいけない身体の不自由な妻と子供が居ました。
しかし徐々に警察の捜索の手が・・・
封切り当時のアメリカでの評判は良くなかったようです。
”あのヒューマニズムの精神に満ち溢れたチャーリーは
どこへ行ってしまったんだ”
ということなんでしょうね。
でもこの作品、私は超絶の大傑作だと思います。
チャップリンの演技、身体の動きひとつひとつが
至宝の輝き。
撮影当時、50歳代後半ですが
まだまだキレがあります。
(これ以降の作品ではもう役柄の設定が老人になっているので、
敏捷に動き回るチャーリーのラスト作といえます)
往年を思い出させるドタバタシーンもあり。
そしてマリリン・ナッシュ!
”一人殺せば死刑、
多くの人間を殺せば(明らかに第二次大戦のことを指している)英雄”
強烈なセリフが登場しますが、
是非是非、本編をご覧くださいませ。
(冒頭の10数分がちょっと弱いかな、という気もしますが)
前作の「独裁者」と対を為す内容ですが、
この2本にチャップリンのメッセージが凝縮されていますね。
今まで何回観返したか分かりませんが、まだまだ
もっともっと観続けるつもりです。