本来、映画は
誰にも理解できる&楽しんで観れる
ように作られるべきで、
実際多くの作品はその範疇だと思いますが、
「そうでない映画」の代表的な一本ですね。
特に洋画好きでも無い人が
この映画を何の予備知識もなく観てしまうと
ひたすら暗くて陰惨な印象を受けるだけのような。
オープニングはいきなりプールで溺死している
ウィリアム・ホールデンの水中からのショット。
登場シーンからして既に尋常でない精神状態の
以降、ストーリー展開が入り組んでいるわけではないので
難解ということはないのですが
忠実な執事を演じている
チラリと出てくるバスター・キートン、
その他セシル・B・デミルやサイレント期のスター達
といった顔ぶれについて馴染んでいるのと
そうでないのとでは、映画から受ける感動の度合いというのが
まったく異なってしまうんですよね。
この映画が封切られた時点(1950年)では
多くのアメリカ人がそれを共有できた、
それ故に映画評論家のみならず、一般的な評価も高かったのでしょうね。
逆に言えば私たち日本人には
実のところ、完全にはその面白さは分からないような気もします。
(淀川さん、双葉さんのような評論家や戦前から洋画を見続けてきたファンを除いて)
しかしそれにしても凄いのは
ラストの”サロメ・シーン”
ここでのスワンソンとシュトロハイムの演技は圧巻です。
世の中に星の数ほど映画はあれど、
トップ中のトップでしょうね、ラストシーンの。
ハッピーエンドとは無縁の
悲しい悲しいフィナーレですが・・・
そして時は流れ、その悲しさや喪失感は
”マルホランド・ドライブ”(2001年)に
受け継がれてゆくことになるのですが、
それについてはまた改めまして・・・