バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

23歳にして人生の深淵を知る~”青春の光と影” by JONI MITCHELL

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"BOTH SIDES,NOW" はジョニの作品のなかでも

多くのアーティストに取り上げられていて

よく知られていますね。

 

この曲を書いた時、まだ20代前半なわけですが

人生を達観したような~傍観者の視点が感じられますね。

英詩では韻が踏まれている箇所が多く

日本語に置き換えるのは非常に難しいような気もしますが

なんとか気を取り直して

(意)訳してみましょう・・・

 

Rows and flows of angel hair
And ice cream castles in the air
And feather canyons everywhere
I've looked at clouds that way

 

幼い頃私は、雲についてこんな想いを巡らせていました

美しく編み込まれたり綺麗に梳かれた天使の髪のよう

それとも空中に浮かぶアイスクリームのお城

あるいは羽毛で覆われた峡谷のような

 

But now they only block the sun
They rain and they snow on everyone
So many things I would have done
But clouds got in my way

でも雲というものは太陽を遮るために存在し

それどころか雨や雪を降らせもする

私にはやりたいことが、そう

しなければいけないことがあったのに

雲はことごとく邪魔ばかりしてきたのです

I've looked at clouds from both sides now
From up and down, and still somehow
It's cloud illusions I recall
I really don't know clouds at all

 

私は雲というものを二通りに捉えていました

上からのぞき込んだり下から見上げてみたり

もっと違う見方があるのかもしれない

考えてみると、雲というものは幻想だったようにも思える

今言えることは、私は雲について何も知り得なかった

ただそれだけ


Moons and Junes and Ferris wheels
The dizzy dancing way that you feel
As every fairy tale comes real
I've looked at love that way

 

かつて私は、愛についてこんな想いを抱いていました

月光に照らされた6月の花嫁

くるくると回る観覧車

そして夢見心地のダンス

おとぎ話の出来事すべてが私の身に訪れるはずだと

But now it's just another show
And you leave 'em laughing when you go
And if you care, don't let them know
Don't give yourself away

 

でも愛というものは安っぽい見世物のようで

ただ笑いながら、ずっとずっとその場から去り続けたのです

心の奥底を人に見せてはいけないのだ

秘めていた愛の気持ちは誰にも知らせないほうがいいのだと

 

I've looked at love from both sides now
From give and take, and still somehow
It's love's illusions I recall
I really don't know love
Really don't know love at all

 

私は愛について両側から眺めてきたのです

与える愛と受け取る愛

そう、もっと違った愛の形もあったのかもしれない

振り返ってみると、それはただの幻想だったようにも思える

今はっきりと分かっていることは

私は愛について何も知りえなかった

ただそれだけ

Tears and fears and feeling proud
To say "I love you" right out loud
Dreams and schemes and circus crowds
I've looked at life that way

 

かつて私は、人生についてこんな希望を持っていました

涙や恐れの感情を乗り越え

”あなたを愛しています”

と誇り高く伝える時が来るだろうと

未来への様々な夢や計画を語り合う友が

たくさん居てくれるのだろうと

Oh but now old friends they're acting strange
And they shake their heads
And they say I've changed
Well something's lost but something's gained
In living every day

 

今、私の古い友達はすっかり変わってしまいました

そして彼らは首を振って言うのです

”君は昔と違ってしまった”と

そう、変わったのは私かもしれない

日々の暮らしのなかで色々なものを得て、

そして失ってきたのだから

I've looked at life from both sides now
From win and lose and still somehow
It's life's illusions I recall
I really don't know life at all

 

私は人生というものの表と裏を見てきました

勝者の側と敗者の側、もしかしたら

違う見方もあったのかもしれないけれど

今にして思うと、人生とは幻想だったようにも思える

私は生きるということの意味を

なにひとつ知りえなかったのです。

 

・・・

 

うーん、言葉数が多いわけではないのですが

哲学的かつ抽象的でもあるので

本当のところの訳というのは不可能な気がしますね。

 

1970年

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2000年

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近年のジョニは健康状態が思わしくないようですが

まさに”天才”の称号がふさわしいアーティスト、

70~80年代に

どれだけ彼女のアルバムを聴いたことでしょう。

 

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スタジオ盤(2000年)では大編成ストリングスの

アレンジの妙がよく聴き取れます。

指揮がジャズ・ビッグバンド第一人者のヴィンス・メンドーサ、

サックスがウェイン・ショーター

 

心身の安らかな日々がジョニに続きますように・・・