有名なスティーヴン・キングの1981年作、
”キャリー”の発表が1974年ですから、かなり初期の作品。
タイトルは「道路工事」
クリーニング工場に勤める主人公、
高速道路の建設により自宅は立ち退き
勤め先の工場が移転となる状況を迎えています。
ところが彼はその事態をどうしても
受け入れることが出来ません。
彼が取る行動はだんだんと常軌を逸していき・・・
というストーリーなのですが、
いわゆる超能力モノではありません。
自分の周囲に折り合いがつかなくなる
何よりも自分の心を制御できなくなる
そんな一人の男の行動を克明に描いています。
この時キングはまだ30代前半、なんという筆力・・・
そして日本訳(諸井修三)がまたいいんですね。
キングの文章は重厚なリズム感
~ここがポイント、音楽で言えばポップス系ではなくヘビーな
リフで構成されたサウンド~
がなによりも肝。
その特徴を活かしながら
日本語に置き換えるのは非常に難しいのではと思うのですが
多分、訳者さん自身がキングに惚れ込んで
ノリノリで作業されたのでしょう、文章のひとつひとつが
キラキラ&ギラギラです。
音楽好きのキングらしく作品中にロックのアーティスト名や
曲名が登場します。
ちょっと長いですが、そのうちの一節を。
”この日、ジョッキから十ドル札を2枚抜き取って、ロックンロールのアルバムを四枚買ってきたのだった。そのうちの一枚はローリング・ストーンズの『レット・イット・ブリード』だった。パーティーでかかっていたアルバムで、この日の四枚のうちでは一番気に入った。ほかの三枚のアルバムはどこか感傷的だった。その中の一枚、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングというグループのアルバムはあまりにもめめしかったので、膝でぶち砕いてしまった・・・”
もう、最高
でしょう?
と、思われる方が居たならば
是非是非
全編をお読みくださいませ・・・