バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

オールロケVSオールセット 賞獲りでも明暗を分けた二つの「楢山節考」

楢山節考

1956年に発表された深沢七郎の小説。

いわゆる”親捨て”の物語で

ある年齢以上の日本人には

良く知られていると思います。

 

2回映画化されていますが

知名度があるのが

1983年の今村昌平監督版。

なんといってもカンヌでグランプリでしたから。

 

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全編野外ロケで

緒形拳坂本スミ子を背負って

延々と山道を登っていくシーンが続きます。

 

妥協を許さない今村監督ですから

役者さん、

体力的にもかなり厳しかったのではないでしょうか。

 

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食料を隠し持っていた村人家族への

徹底的な村八分の様子なども描かれています。

 

この映画に先立つこと、1958年版は

木下惠介の監督作品。

こちらは対照的に全編室内セットでの撮影。

歌舞伎の様式を取り入れた異色作です。

 

日本国内では高評価でしたが、

こちらは惜しくも海外の映画祭では受賞ならず。

制作の過程などは500頁を超える

長部日出雄の評伝に記されています。

 

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新旧どちらの作品も

主演の田中絹代坂本スミ子

歯を何本も抜いたり削ったりと

まさに身体を張っています。

 

個人的には木下版に、より惹かれます。

海外の主要な映画フェスでの受賞が無かったことは

後世の木下監督の作品評価に影響してしまったことは事実で、

ちょっと残念ですね・・・

 

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