名匠、清水宏監督の76分の小品。
これ素敵ですよ、いい映画だなあ。
ホントにホントに素晴らしい。
伊豆を走る乗り合いバスの運転手に上原謙、
その乗客に桑野通子。
バスには他にも様々な事情を抱えた人が乗っていて
セリフの絡み合いが面白い。
車内の人間模様だけでなく
運転途中に行き交う(路上の)人物描写が
最高です。
言葉を呑むシーンが次々と登場。
超大作恋愛モノとか圧倒的なスケール感とか
そういうのとは無縁の世界。
あくまで淡々と物語は進んでいくのですが。
しかし私は興奮しますね、冷静では居られない・・・
こちらは上原謙の自伝のなかの一節、数えきれないほどの
出演作があるなかでも記憶に残る作品だったようです。
黒澤、小津の両監督に比して
清水作品は
映画愛好家のあいだの評価に留まっているような気がします。
それではあまりに勿体ない、
勿体なさ過ぎる。
この”有りがたうさん”と”按摩と女”(1938年)の2本は
どうぞ生きているあいだに
本編をご覧くださいませ。
日本のアートの至宝であります。