1956年製作のイタリア映画
とりわけ日本では人気の高い作品ですね。
なんといっても(特に昭和世代の)日本人の涙腺崩壊を
見事なまでに誘う2時間であります。
大酒飲みで直情型の父親が鉄道事故を起こしたことから
家族の絆が次々と崩れていきます。
娘の結婚も幸せに包まれたものではありませんでした。
(日本版を作るなら久我美子か有馬稲子、多岐川裕美あたりかな)
長男は危ない仲間と付き合っているようです。
(羽賀研二でどうかな)
そんな毎日を賢い次男の視線で描いているのですが
バラバラになりそうな家庭をなんとか引き留めているのは
母親の包容力と家族を想う心なんですね。
日本の女優さんでいえば引退前の原節子に
風見章子や河内桃子を足して三で割ったような雰囲気。
で、この女優さん(ルイザ・デラ・ノーチェ)はかなり上背があります。
ですので全体的に動作もゆったり。
その安定感が家族の一人一人を包み込んでくれる懐の深さに
繋がっているような気がしましたね。
優しい肝っ玉母さんがもたらす家族再生の物語、
ラストに向かうところがちょっとご都合主義的な
ハッピーエンドにまとまってしまいそうになりますが、
ベタベタに甘くならないよう
ちゃんとその手前でブレーキを踏んでいます。
主要な登場人物~つまり家族一人一人ですが
そのなかに根っからの悪人は一人も居ない
という、誰が観ても安心して楽しめる(泣ける)
これが「映画」と呼べるべき珠玉の一本であります。
キネ旬では公開時、第5位にランクイン
サントラもまた日本人好みのメロディー