東京オリンピックの開催された
1964年(昭和39年)封切りの
高倉健主演作品。
当時の実年齢は30代前半、
しかしもっと若く見えますね。
仁義を切る場面などは
超強力な肉体を手に入れた渥美清
といったところでしょうか。
素晴らしいのは上官を演じる杉浦直樹
のちのテレビドラマ出演時の印象が強いような気もしますが
なにより姿勢が美しく、声が絶品。
やはり舞台出身の役者さんは違います。
色気ムンムンの朝丘雪路
イタリア映画の女優さんのようです。
未来の旦那さん(津川雅彦)も出ています。
監督は ”網走番外地” の大ヒットを翌年に発表する
名コンビの石井輝男。
1965年には内田吐夢監督の3時間を超える大作
”飢餓海峡” でも刑事役を好演。
人気シリーズになる ”日本侠客伝” も
この時期にスタートしていますので
高倉健にとって
まさにターニングポイントの時期だったのでしょう。
しかし、1956年のデビュー以来、
毎年なんと10本以上の作品に出演しているという
今では考えられない製作スピード。
上掲のムック収録のインタビューではこの時期について
”かなり「やらされている」っていう感じが強かったですね。
決して嫌いではないんですけど、あまりに数が多かったですから”
という発言も残っています。
そういえば、この作品でも
(兵隊役ということもあるのですが)
イライラ感というか、どこか
投げやりな表情を見せる場面があるようにも感じますね。
そこがまた後年の健さん映画とは違う魅力が
ありますけれども。