バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

「存在感の薄い」三船敏郎が印象に残る、有馬稲子主演の”ひまわり娘”

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有馬稲子東宝専属第一作(1953年)で

監督は千葉泰樹

 

まだ20代そこそこの有馬稲子は確かに美しいのですが

タイトルのひまわり~から想像されるような

おてんば娘といった役の設定ではなく

むしろシリアスな顔つきの場面が多いですね。

(目力の強いこの人にそれがまたぴったりですが)

 

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相手役は三船敏郎なのですが

一連の黒澤作品の時とは違って

気のいい先輩社員を飄々と演じています。

 

黒澤映画では圧倒的な肉体の強靭さを感じますが

実はそれほど身長があったわけではなく

他の男優陣のほうが背が高いのが分かりますね。

 

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成瀬巳喜男作品でお馴染みの

木匠久美子がお茶目ぶりを連発。

 

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居酒屋の大将と女将に

十朱久雄、杉村春子

その他、”七人の侍”で仲間だった

宮口精二千秋実も顔を見せます。

 

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有馬稲子の勤め先では色々と騒動が起きるのですが

家庭での人間関係は至極良好。

家族はみな好人物で、家のなかでの表情は

実にリラックスしています。

 

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この映画は ”お茶” がキーワードになっていて

お茶に絡んだエピソードが続きます。

お茶好きの三船の湯呑に延々と注ぎ続ける

笑えるシーン。

 

日本映画史に残る1本ということでもないでしょうし、

有馬稲子自身も良い評価を与えていないようですが

私はかなり好きですね。

 

溝口、黒澤作品を観る時のように

身構えなくていいですから。

役者さんが肩の力を良い具合に抜いていますので

こちらも熱いお茶なんぞを頂きながら

楽しく鑑賞できますので・・・

 

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