監督は千葉泰樹。
まだ20代そこそこの有馬稲子は確かに美しいのですが
タイトルのひまわり~から想像されるような
おてんば娘といった役の設定ではなく
むしろシリアスな顔つきの場面が多いですね。
(目力の強いこの人にそれがまたぴったりですが)
相手役は三船敏郎なのですが
一連の黒澤作品の時とは違って
気のいい先輩社員を飄々と演じています。
黒澤映画では圧倒的な肉体の強靭さを感じますが
実はそれほど身長があったわけではなく
他の男優陣のほうが背が高いのが分かりますね。
成瀬巳喜男作品でお馴染みの
木匠久美子がお茶目ぶりを連発。
居酒屋の大将と女将に
十朱久雄、杉村春子。
その他、”七人の侍”で仲間だった
有馬稲子の勤め先では色々と騒動が起きるのですが
家庭での人間関係は至極良好。
家族はみな好人物で、家のなかでの表情は
実にリラックスしています。
この映画は ”お茶” がキーワードになっていて
お茶に絡んだエピソードが続きます。
お茶好きの三船の湯呑に延々と注ぎ続ける
笑えるシーン。
日本映画史に残る1本ということでもないでしょうし、
有馬稲子自身も良い評価を与えていないようですが
私はかなり好きですね。
溝口、黒澤作品を観る時のように
身構えなくていいですから。
役者さんが肩の力を良い具合に抜いていますので
こちらも熱いお茶なんぞを頂きながら
楽しく鑑賞できますので・・・