1994年から98年にかけて発表された
作品を収録した2冊の短編集。
この時期には作者の代表作である
長編の「OUT」も執筆されています。
映画&TVドラマ化もされましたので、よく知られていますね。
まさに脂ののっている時期だったのでしょう。
さて、こちらの2冊には計15編が収められていますが
いずれもが読者をぐいぐい引き込む
キリノワールド全開といったところです。
かつて付き合っていた男女が再会するが
両者の心情の違いが浮き彫りに
「羊歯の庭」
泥酔時の記憶が無い主人公、
周囲の人間にその際の言動を確かめるのですが
「ジェイソン」
ラブホテルの室内で惨殺された幽霊と対話する主人公
自分が迎える運命もまた
「デッドガール」
マンションの下階の部屋に住む風変わりな女との情事を描く
「ジオラマ」
仲睦まじい夫婦が休日の買い物から帰宅
留守番電話に残されていたメッセージから流れてきたのは
「蛇つかい」
重厚な長編作品と比べると
気軽な気持ちで頁をめくることが出来ますね。
ディナーではなくてランチ。
もっとも普通の店のメニューより
使っているスパイスの量はずっと多めですが。
濃い目に淹れたコーヒーとともに
深夜に流れる時間を堪能しましょう。