有名大学を卒業し
一流企業の総合職として働く女性が
渋谷のアパートで遺体となって発見された事件。
当時(1997年)、あらゆるメディアで
センセーショナルな報道合戦が展開されました。
(女性には別の”夜の顔”があったのです)
関連書籍は実に多数出ていますが
上掲の2冊はその中でも底本といえるもの。
著者は犯人として逮捕されたネパール人男性の
実家を訪れるなど、あらゆる角度から事件の本質に
迫ろうとしています。
地裁判決では無罪を勝ち取りますが
高裁では無期懲役となり
再審後、釈放されたのは2012年。
15年間を獄中で過ごしたことになります。
(ネパールに帰国した男性は2017年に再来日、
著者との再会を果たします)
この事件をベースにして書かれた小説が
桐野夏生の「グロテスク」(2003年)
タイトルが示すように
人間の持つ底意地の悪さを徹底的に描いた1冊。
女性であるからこそ書けるであろう
メラメラと燃え立つ女の情念が
頁を埋め尽くしています。
今回の3冊、ドキュメンタリーとフィクションの違いはあれど
いずれも文章量が多く、
(グロテスクは2段組みで500頁以上)
実際に”重たい”書籍です。
それだけの深い闇を内包していた事件だった
ということですが、
読後感もかなりヘビーになると思いますので
読了後には濃いコーヒーを
どうぞお忘れなく・・・