バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

情念という名の魔界~東電OL殺人事件から23年

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有名大学を卒業し

一流企業の総合職として働く女性が

渋谷のアパートで遺体となって発見された事件。

当時(1997年)、あらゆるメディアで

センセーショナルな報道合戦が展開されました。

(女性には別の”夜の顔”があったのです)

 

関連書籍は実に多数出ていますが

上掲の2冊はその中でも底本といえるもの。

著者は犯人として逮捕されたネパール人男性の

実家を訪れるなど、あらゆる角度から事件の本質に

迫ろうとしています。

 

地裁判決では無罪を勝ち取りますが

高裁では無期懲役となり

再審後、釈放されたのは2012年。

15年間を獄中で過ごしたことになります。

(ネパールに帰国した男性は2017年に再来日、

著者との再会を果たします)

 

この事件をベースにして書かれた小説が

桐野夏生の「グロテスク」(2003年)

 

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タイトルが示すように

人間の持つ底意地の悪さを徹底的に描いた1冊。

女性であるからこそ書けるであろう

メラメラと燃え立つ女の情念が

頁を埋め尽くしています。

 

今回の3冊、ドキュメンタリーとフィクションの違いはあれど

いずれも文章量が多く、

(グロテスクは2段組みで500頁以上)

実際に”重たい”書籍です。

 

それだけの深い闇を内包していた事件だった

ということですが、

読後感もかなりヘビーになると思いますので

読了後には濃いコーヒーを

どうぞお忘れなく・・・