ホール&オーツというと
一般的には80年代の大ヒットシングルを
思い浮かべる人が圧倒的に多いでしょうね。
”プライベート・アイズ” ”マンイーター” ”アウト・オブ・タッチ”・・・
実際この頃の彼等は売れに売れてましたから。
しかし70年代は決してそうではなかったんですよ。
着実にアルバムを出していたし、ヒット曲もあるんだけど
どちらかというと通好みというか
ややマニアックな印象のほうが強かった。
この時代の彼等は音楽スタイルの変遷が続いていて
72年のデビュー作がフォーク
73年のセカンドがフィーリーソウルテイスト
74年作ではハード&プログレ色
75~76年はAORカラーが強く
77年のアルバムでは再びハード
78年にはパンク、79年にはニューウェイブ&テクノ
といった具合にアルバム毎に試行錯誤を重ねていたんですね。
確かダリルは、”どういう方向性にしたらいいか迷っていた”
というニュアンスの言葉残してますよ。
でも共通点があって、テイストが違っても
音楽に向かう姿勢がシリアスなんです。
力を抜く、ということが無い。
Have I Been Away Too Long (1978)
私は70年代の彼らのアルバムは全て買ってましたけど
そういう部分が好きだったんですね。
力を出し切ってるところが。
しかし、だからといって
それが商業的に報われることはなく
80年代はガラリとサウンドが変わるんです。
アルバムでいうと"VOICES"からですね。
私、当時びっくりしましたよ。
ジャケ写も「なんじゃこれ?」だったし
スピーカーから流れてくる音も
自分の期待とは全然違う。
曲もね、同じグループとは思えないようなのが入ってたし。
You Make My Dreams (1980)
でも、この路線がビジネスとしては大正解だったんですよね。
あとはもうひたすら再生産パターンを連打また連打。
驚異的なヒット率でしたから。
80年代も後半になると勢いが途絶えました。
まあ、これはしょうがないですね。
彼等は40年代生まれですから、もうこの頃には
MTVのクリップで飛んだり跳ねたりするのも
いい加減飽きたのでしょう。
今でも時々聴くんです。
70年代の楽曲を。
で、今でも思いますね。
”いい曲だな、いいボーカルだな、いいサウンドだな”
って。
Along Too Long (1975)