バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

ニヤリ ホロリ しんみり・・・三人の名手による短編小説競演

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重厚な長編からライトな短編まで

幅広い作風の著者による

クスッと笑ってしまう

家~家庭をテーマにした作品集。

 

突然のリストラから主夫生活となった主人公

思いの外、家事は苦ではなく

「ここが青山」

 

妻が家出、残された夫は独身時代の感覚に戻り

マンションの調度は男の隠れ家に変貌していく

「家へおいでよ」

 

独立志向の夫、突然カーテン屋を開業

果たしてお客はやってくるのか

「夫とカーテン」

 

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表題作は映画化もされて有名ですが

他の作品も ”らも節” 絶好調。

 

主人公のベース弾き、仕事場のキャバレーで幼馴染と再会

二人の男の人生ブルースが浮かび上がる

「えびふらっと・ぶるぅす」

 

あまりの忙しさに音を上げた小説家

クローン人間に代筆させようとするが・・・

「子羊ドリー」

 

海外で転戦中の日本人プロレスラー

次の相手は人間でなく、熊だった

「逐電」

 

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現役医師でもある著者による

芥川龍之介作品へのパスティ―シュ。

 

心臓移植で命を取り留めた若い男性

しかしその後の人生は幸福だったのか

「他生門」

 

ケアマネージャーの女性が遭遇する

あまりにも我儘で癖のある家族との攻防

「バナナ粥」

 

虫も殺さない優しい性格の看護師

勤務する病院の室内で大きな蜘蛛が出現

「クモの意図」

 

・・・

 

あっという間に数時間が過ぎていきます。

 

こういったテイストの作品を読むときのお供は

コーヒーでなく、日本茶や紅茶のほうがいいかな。

 

フィクションの世界は現実のそれよりも

時に(というかおよその場合)

面白くて素敵、ですよね。

怖すぎる、悲しすぎる

なんてこともありますけれど・・・