スティーブン・ソダーバーグ監督の2008年作品
"Che"
かのチェ・ゲバラの半生を描いた
およそ4時間半に及ぶ大作です。
作品自体も勿論、見応えがあるのですが
なんといってもゲバラを演じる
ベニチオ・デル・トロの熱演が圧倒的。
ゲバラ本人の映像などを徹底的に研究したのでしょう。
有名な国連での演説や記者の質問をあしらう場面などは
ドキュメンタリーフィルムを観ているようです。
戦闘シーンも迫力がありますが
大変美しい、詩情を誘うカットが散りばめられていて
印象に残ります。
惜しむらくは、メキシコでのカストロとの出逢いから
ボリビアで死を迎えるまでを一気に描いていますので
(回想シーンが挟み込まれますが)
ゲバラの歩んできた道のりについて
ある程度の予備知識が無いと、理解が追いつかないというのは
あるかもです。
ゲバラ以外の登場人物も膨大な数になるわけで
その関係性を把握するのも結構大変ですし。
(日本の戦国時代についてまるで知らずに、その時代を舞台にした大河ドラマを見ているような感じかな)
ジャングルでのゲリラ戦の時などは
皆目立たない服装にしてますから
尚更。
ですんで、書籍による補強があったほうが
より楽しめるかもしれませんね。
映像と活字で
数日は濃密な時間を過ごせること
請け合いです。
ゲバラが、
10歳を迎えた長女に宛てた
誕生日のメッセージ。
”パパが遠くにいること、この先も、私たちの敵と闘うためにお前と離れた場所にいなければならないことを分かって下さい。大したことでないにしても、誰かがそれをしなければならないのです。パパがお前を誇りにしているように、お前もそんなパパを誇りにしていいのですよ <中略>
時々はパパの家に寄って、お前の妹や弟の面倒を見たり、勉強や行儀を教えてあげなさい。特にアレイディータにはお姉さんらしく接してあげなさい。
楽しい誕生日を過ごしなさい。会えない分だけ、誰よりも強くお前を抱きしめます。
パパより”
それから2年も経たないうちに、
チェは異国の地で
39年の生涯を終えることになります。
Buena Vista Social Club Hasta Siempre - Comandante Che Guevara