監督の代表作として名が挙がることはありませんが
今観返してみると、戦後に発表された作品群のなかでも
実は一番、観易い一本かもです。
まずは女優さんが大挙登場しますが
皆、実に美しい。
洋装、和装
ともに着こなしが素敵。
身に着けているアクセサリーの類も
何気にお洒落です。
そしてこの作品を魅力的にしているのが
ストーリー展開の快調さ。
”小津監督の映画? まあ良いんだろうけど
どうも話のテンポがねえ、ちょっとスローな感じがしちゃって・・・”
という方にこそお勧めできる脚本の小気味よさです。
その源は母娘役の
おっとり型の東京勢に対して
ポンポンポンと話を転がしていくので
全編、ダレることなく
またシリアス過ぎることもなく
楽しく観通すことが出来ます。
小津監督の作品が初めて、あるいは
前に観たことはあるが途中で挫折、
という方はお試しあれ。
ちなみに数多くの日本映画で
達者な脇役ぶりを見せる
浪花千栄子の半生は
筆舌に尽くしがたい苦労の連続だったようです。
だからこそ、これだけの粋な
芝居がこなせるのでしょうね・・・