バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

セリフのオーケストラ~名優、仲代達矢の凄さは「声」にある

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仲代達矢というと

一連の黒澤作品、

なかでも後期の  ”乱”  ”影武者”  あたりが

世界的にも、もっともよく知られた

代表作でしょうか。

 

私は日本の名優を一人挙げるとするならば

この人だと思うのですが

それは視覚的な立ち振る舞いに加えて

「声」の魅力が圧倒的であることが理由です。

 

仲代達矢が語る日本映画黄金時代」

春日太一著・PHP新書

というインタビュー集にこんな発言があります。

 

”やっぱり楽器のチェロと同じように、高いところと低いところと中音と十種類くらいを使い分けていかないと”

”(新人に対して)俳優ってものは楽器みたいに聴覚的には上から下までの音階を全部出しきれっていうわけです”

 

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勅使河原宏監督の「他人の顔」(1966年)

では非常にソフトなトーン。

 

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小林正樹監督の傑作、”切腹”(1962年)

では重厚な低音と

自在に声の質を変えています。

 

他の出演作でも、注意深く観ると(聴くと)

作品によって微妙にキーを上げ下げしています。

目で見る部分についてだけでなく

そこまで神経を研ぎ澄ませて、撮影に臨んでいるわけですね。

 

そんじょそこらの若手では、到底及ばないレベルです。

はっきり言って。

(書籍では、声も出ない&ただ雰囲気だけという役者さんが増えたことに苦言を呈しています)

 

”楽器と同じですから、俳優は”

という一言が重いですね。

 

ボイスに注目して、数々の出演作を観てみると

仲代達矢という人の凄さが

じんわり伝わってきますよ。

お時間がある時にでも是非。

 

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