バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

グループA対グループB 全く異なる演奏が収められたマイルスの "SEVEN STEPS TO HEAVEN"

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御大マイルス・デイビスの1963年作

"SEVEN STEPS TO HEAVEN"

 

のっけからなんですが、こちら

マイルスの代表作として取り上げられることは

まず御座いません、ハイ。

 

しかし、しかーし

このアルバムはなかなか奥が深いというか

色々な聴き方が可能な

一粒で2度美味しい作品なのですよ。

 

まずですね、6曲が収録されているんですが

3曲ずつ、マイルス以外の演奏者(ピアノ&ドラムス)が違うんですね。

 

それが混ぜこぜになってるんです。

A面にグループA、B面にグループB

の演奏という振り分けでなく。

 

なので、頭から順に聴いていると

確かに違和感があるんですね。

落ち着かない。

 

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ある評論家のお方によると、

その片方について

”ますます貧弱に聞こえてしまう”

と書かれています。

 

つまりグループAとBでは優劣があるということですね。

 

そっ、そうかなあ?

貧弱、と形容されたほうのナンバー

ちょっと聴いてみましょうか。

 

I Fall In Love Too Easily

www.youtube.com

 

うーん、おいらの耳には

マイルスのソロとしても上位に入る

とても素敵な演奏に思えるがなあ・・・

 

ここでピアノを弾いているのは

ヴィクター・フェルドマンという人なのですが

この人のプレイもセンスが良いと思うのだがなあ・・・

 

Baby Won't You Please Come Home

www.youtube.com

 

もう一曲、”貧弱グループ”のほうのナンバー。

 

いやあ、絶妙だと思うけどなあ。

フェルドマンの端正なタッチが

ただムーディーなバラードになるのを防いでいるし。

 

もう一方の”優秀グループ”のピアノが

あのハービー・ハンコックなんで

どうしてもそちらが目立つのかもしれないけど、

フェルドマン組だけの録音で

1枚アルバム残していたら

評価は随分、違っていたのじゃないかなあ。

(アルバム未収録の曲もあるみたいだし)

 

そうなっていたら、間違いなく

マイルスのというより、

JAZZのジャンル全体で

マイ・フェイバリット・アルバムですよ、

うん。