バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

綿密な取材&圧倒的な構成力に唸る ”アドルフに告ぐ”~by 手塚治虫

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手塚治虫の後期の代表作に挙げられる大作

アドルフに告ぐ

 

史実と手塚のイマジネーションが融合した

まさに傑作。

決して手塚治虫の大ファン、というわけではない私が

ぐいぐいと物語に惹き込まれて

頁をめくる手が止まらなくなりましたから。

未読の方が居られましたら、是非にどうぞ。

(ラストの展開がちょっと駆け足になっていて消化不良・・・長期連載の際にはよくあることですが、諸々の事情による打ち切りだったようです。手塚の構想としてはその後のストーリーも考えられていたとのこと)

 

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私の手許にあるのは

週刊文春での連載が終わった年(1985年)に単行本化されたものですが

不思議に思っていたことがありまして。

 

というのも表紙のイラストが見てわかるとおり

違う人が手掛けたものなのですね。

何故だろう?

これでは手塚治虫の作品ということが

分かりにくいのでは?

と。

 

実はこれは意識的なものであって、書店で漫画コーナーではなく

一般の単行本が並んでいるスペースに置いてもらおうという

戦略があったようです。

なるほど、確かに連載誌が漫画雑誌ではなく

文春だったわけですしね。

 

壮大なスケールで描かれた作中には

アドルフ・ヒトラーゾルゲなど

実在の人物も多数登場します。

手塚のオリジナルキャラクターとの絡み合い、ぶつかり合いは

まさに”読む映画”といったところ。

 

読者の理解を深めるために

単行本には年表が付いているのですが

関連書籍を併読すると

更に面白さが倍加します。

 

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”アドルフ~”が全4巻で1200頁以上、

これらの書籍を合わせると

うーん、コーヒー100杯ほど飲み干すと

制覇できるでしょうかね・・・

 

でも手塚先生はろくに睡眠時間を取らずに

書き上げたわけですから

その1万分の一くらいの寝不足で向き合おうかと。

なんらの意味もありませんが・・・