バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

あまりにも艶やかでそして哀しい、デヴィッド・リンチの最高傑作 ”マルホランド・ドライブ”

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これはもう、完全にノックアウト。

素晴らしすぎて。

 

ひたすらリンチが描き出した

145分間に酔いしれるだけですね。

 

ロスト・ハイウェイ” ”ブルー・ベルベット” ”インランド・エンパイア

などと比べても、際立って完成度が高いと思うんですよ。

オープニングシーンからエンディングまで

全ての場面に意味があって(込められていて)、

無駄なカットが一つもないという驚愕の映画です。

 

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しかし、単純明快&勧善懲悪&ハッピーエンドを

求めている人には全く向かないでしょうね。

(まあ、リンチの映画にそれを期待している人はそもそも居ないでしょうが)

 

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まず時系列が完全に崩されています。

現実に起こった事象について。

 

あと登場人物の頭の中の世界

夢や願望ですね~それらが

随所に挟み込まれているので

確かに観ている側は戸惑うわけです。

 

細かく観ますと、短いカットも実は繋がっていない。

例えばレストランで食事をしているシーンですと

登場人物の顔→テーブルの上の料理→また登場人物の顔

このごく短い切り替えのなかで、時制が変わってしまってるんですね。

まさにリンチ・マジック爆発、それが2時間以上続くわけで。

 

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だから解釈、感想というのは観る人によって

随分変わってしまうでしょうね。

で、正解というのはおそらく無いんでしょう。

その辺りも含めてリンチは計算し尽してるはずですよ。

 

この映画は女性と女性の絡み合い~ツーショットが多いんです。

私が思うには、その相手は自分の「分身」なんですね。

(そうであればナオミ・ワッツが出逢うローラ・ハリング

”記憶喪失”という設定になっている理由がよく分かる。別人ではなくて

自分の変身した姿なのですから、固有の記憶を持つ必然性が無い)

 

自分が自分に対して”夢”を抱く、成功した未来の自分を思い描く。

しかしそれは簡単には叶わない。

(レストランのウェイトレスのネームカードが映る場面)

それどころか絶望的な状況に陥ってしまう。

(闇の組織との関係が深くなっていく場面)

 

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そういう事態に自分を陥れたのは

男なんですね、欲にまみれた獣のように嫌らしい男たち

(ハリウッドに巣食ういわゆる業界人)に、

精神と肉体をボロボロにされてしまう。

 

そこで、もう最後の瞬間が近付いてきている

その時になって、もう一人の自分を産み出すわけです。

そういう男たちを手玉にとったり、

女王のように振舞える人物像にして。

 

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「ふーん、君がそう思うなら 多分そうなんじゃないかな。

コーヒーを飲んでもう一回観てみたらどうだい?」

なんて、監督に言われそうですけれど。

(リンチは大のコーヒー党)

 

www.youtube.com

 

リンチはヒントも沢山、場面のなかに仕込んであるので

何回観ても飽きることはないですね。

 

箱を開けると

何が出てくるのでしょうね。

また観直してみましょう・・・

 

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