映画の歴史を語るとするならば
必ずや触れられるであろう
ロベルト・ロッセリーニの、いわゆる”戦争三部作”を
今日は駆け足で。
まずは ”無防備都市”
第二次世界大戦末期のローマが舞台
街は混乱を極めており、パン屋には長い行列が。
途中までの出演ですが、その最期が映画史に残る圧倒的な場面だった
アンナ・マニャー二。
脚本が練り込まれていて、登場人物の造形も見事。
三本のなかではもっともドラマティックな構成で
傑作、としか言いようがありません。
続いては ”戦火のかなた”
6話構成のオムニバス映画で
時系列順に並べられています。
各話の間に繋がりはなく、イタリア各地が舞台となっています。
出演者のほとんどが役者さんではなく
一般の市民や兵士たちなので
演技が生硬、ややわざとらしい場面も散見されます。
また、イタリア人、ドイツ人、アメリカ人の人間模様の絡み合い、
加えて宗教的なシーンも出てきますので
日本人にはちょっと理解しにくい部分もあるかも。
ドイツ軍と絶望的な戦いを続ける
パルチザンを描いた
最終話が特に印象に残りました。
最期は ”ドイツ零年”
これはヘビーな映画です。
全編どんよりとした雰囲気が漂っており
観ていて辛くなる人も多いのでは。
終戦直後のベルリン、
一人の少年の行動をカメラが追っていきます。
大人たちの多くは虚無的になっており
廃墟の街を彷徨い歩く少年の心も孤立していきます。
自分の影をがらくたの拳銃で撃つシーン。
ラストがあまりのバッドエンド、ほのかに希望を残して終わる
”無防備都市” とは異質のタッチですね。
いずれにしても、映画学校というものがあるとしたら
必修の3本。
可能であればまとめて(続けて)観ていくと
ロッセリーニのメッセージをしっかりと受け止めることが
出来るように思います。