これは名作、逸品です。
1954年製作のタイ映画 ”SANTI-VINA"
長らくマスターフィルム消失ということになっていましたが
近年になってネガが発見され、リマスターの後にカンヌ映画祭で上映。
タイ国内でも公開されて、当時(2016年)かなり話題になりました。
目の不自由な少年サンティとヴィナは幼馴染。
ヴィナは学校でいじめにあったりするサンティを庇う
優しい少女です。
やがて成長した二人は自然に恋人同士に。
ヴィナは親の反対もあり、意に沿わぬ別の男性と結婚。
一方サンティは事故にあったことがきっかけで、目が見えるようになります。
しかし、幼いころから面倒をみてくれた老僧侶が亡くなってしまい
仏門に入る決心をします。
托鉢をするサンティ
ヴィナの心には今でもサンティが居るのですが
もはや二人は触れ合うことの許されない
別の世界に生きています。
視線も合わさず、言葉も交わさず
サンティは去っていきます。
ヴィナはただ、遠くなっていくサンティの後ろ姿を見つめるのみ・・・
全篇から受ける印象がまるで
小津安二郎のサイレント期の映画を観ているかのよう。
タイでは初のカラー映画ということもあって
美しいシーンも登場します。
全篇2時間弱の作品ですが、機会がありましたら
是非ご覧くださいませ。
タイ好きの方は
もっとタイが好きになることでしょう。