いわゆる ”刑務所もの” 映画は
洋&邦画とも数多く製作されていますが
大別すると
脱獄の過程をメインにしたパターン
獄中生活を主に描いたストーリー
の2通りになるかと。
今回の2本はいずれも後者のタイプなのですが、
実話をベースにしています。
(何故捕まったのか、その理由や背景はまったく異なりますが)
まずはアラン・パーカー監督の ”ミッドナイト・エクスプレス”
(脚本は若き日のオリバー・ストーン)
アメリカ人の青年(ブラッド・デイヴィス)が
トルコの空港で麻薬所持で逮捕されてしまいます。
濡れ衣、冤罪ということではなく
実際にかなりの量を隠し持っていたのですが。
当初は短期の収監で済むかと思われたのですが
30年という刑期を宣告されてしまいます。
刑務所には他の外国人収容者も居るのですが
暴力がはびこり、精神に変調をきたす囚人も多数。
果たしてデイヴィスはこの暗黒の世界を抜け出すことが出来るのか・・・
40年以上も前の作品ですが
テンポもよく、若い世代の方でも飽きずに
観通すことが出来ると思いますよ。
もう一本はギリシャの名匠、コスタ=ガヴラスの ”告白”(1970年)
こちらは政治的な理由(冤罪)で
いきなり秘密警察に連行されてしまう主人公を
イヴ・モンタンが演じています。
独房のなかでは絶えず歩行することを強制され、
執拗に続く取り調べでは大声で恫喝されます。
個人の尊厳が徹底的に破壊されていく描写が
延々と続きます。
実写映像も挿入されますし、全編緊張感がみなぎっていますので
エンターテイメント性は薄いです。
「ポップコーン映画」ではありません。
しかし、怖いですよ。
殴る、蹴るではなく
全人格を根こそぎ否定されてしまう恐怖ですね。
同時期の ”Z” ”戒厳令” も共通のテーマでしたね。
(主演は同じく、モンタン)
ガブラスには
囚われた息子を救出に向かった父親の苦悩を描いた
”ミッシング”(1982年)
という力作もあります。
また次の機会に観ていきましょうか。