こちらは1972~73年に
青年誌に連載された”奇子(あやこ)”
手塚治虫作品のなかでも異色作のひとつ。
まずいきなり
近親相姦、家族間での殺人や地下牢への軟禁
など描写が陰惨です。
手塚作品の特徴である「シリアスな場面でもユーモアが感じられる」
コマもほとんど無く、少なくとも
読んで楽しい作品とはいえないでしょう。
時代の設定は昭和20年代から40年代となっており
物語の前半では国鉄の下山総裁が死体となって発見された
「下山事件」が登場します。
(作中では霜川と表記)
ただ、話の本筋である
因習に囚われた一族の悲劇(横溝正史的なタッチもありますね)
との絡みが今一つ成功していないような気もしますね。
後半部分は舞台が田舎から都会に移るのですが
ラストに至る展開も今ひとつ
スピード&スケール感が不足しているような。
エンディングもかなり駆け足になっており
(大人の事情による連載打ち切り。この辺りは”アドルフに告ぐ”と同じですね)
ハッピーエンドでもなく完全なバッドエンドでもないので
消化不良感が残ります。
多分、思うのですけれど
この作品は連続テレビドラマにしたら
面白かったのではないでしょうかね。
夜10時くらいからのスタートで。
でも今の時代では厳しそう。
あくまで昭和の役者さんが昭和の時代に演じる~
ということが前提でないと。
キャスティングは誰がいいかな、
入江美樹というのはどうだろう?
あとは
などのキャスティングで。
いずれにせよ、令和でも平成でもないテイストですね。
嗚呼、昭和は遠くなりにけり・・・