1969年作品。
あの、あまりにも有名な ”ゴッドファーザー” の前作ですが
作風はまったく異なります。
(テーマは同一の部分もあるのですけれど)
ニューヨークに暮らすシャーリー・ナイト
友人たちに祝福され、華やかな結婚式も挙げて
夫との新生活が始まるのですが・・・
日々の生活に言いようのない不安を感じ、
衝動的に車で家を飛び出します。
途中の電話ボックスから夫に電話を。
(私は妊娠している。どうか探さないで欲しい。夫はひたすら混乱するだけですが、その後、夫には連絡を続けるシャーリー。指輪をまだ外していませんね)
路上で若い男のヒッチハイカー(ジェイムス・カーン)に出会い、
シャーリーは好感を持ちます。
二人の車の旅はテネシー、ケンタッキー、ネブラスカへと続きます。
カーンは将来を期待されるアメフトの選手でしたが
試合中に怪我で脳にダメージを受けて
大学を追い出されてしまっていたのでした。
純真な少年のような心に戻っているのですが
行く先々でトラブルを起こしてしまい
”もうあなたの面倒は見切れない。私のお腹には自分の子供が居るのよ。その子供をどうしたいいのか分からないのに、もう一人子供の世話は出来ないわ”
と、カーンを車から降ろしてしまうシャーリー。
その後スピード違反で警官に捕まってしまうのですが、
(警官役はロバート・デュバル、そう ”ゴッドファーザー” のトムですね。面白いのは ”ゴッドファーザー” では暴力的なアンソニー役のカーンと、この映画ではキャラクターがまったく逆になっているところ)
夜になって、デュバルの暮らすトレイラーを訪ねたシャーリー
ベッドを共にしようとするのですが
デュバルの隠されていた本性~トラウマを目の当たりにして
恐怖に怯えます。
そんな二人の争いを
窓の外から
カーンがじっと見ていました。
さて、その結末は本編を見て頂くとして
「コッポラって、こんな映画も撮っていたんだ」
と、ちょっとびっくりしてしまいますね。
このストーリーはコッポラのお母さんが家出をした時の話が
ベースとなっているようで、ある意味プライベートフィルムとも言えます。
実はコッポラはこの作品の前に監督した
”フィニアンの虹” という
ミュージカル映画の評判が散々で、
(コッポラとミュージカルってイメージ湧きませんよね)
腐っていた時期だったのですね。
”フィニアンの虹” に出演したフレッド・アステアの評伝本
「アステア ザ・ダンサー/ボブ・トーマス著・武市好古訳」
には、遠慮がちに~コッポラを気遣っているのですが、
失敗作だったとアステアも認めている記述があります。
(私はアステアのファンなのでこの作品も観たのですが、うーん確かに。
ちょっと褒めどころがありません・・・)
当時のコッポラの焦燥は
撮影に同行したジョージ・ルーカスが記録した
メイキング映像にも記録されています。
ロケハンを行わずに出たとこ勝負の撮影だったので
完成度の高い作品ではありません。
(音楽がいかにものオーケストレーションで、残念)
観光プロモーションのような場面もあったりするのですが
妙に心に残る一本ですよ。
もし、”ゴッドファーザー” とこの作品をどちらか選んで
観返すとしたら
私なら、こちらを選びますね・・・
ちなみに RAIN PEOPLE の意味は
車中で
カーンがシャーリーに説明しています。