バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

コッポラ監督の心象ロードムービー ”THE RAIN PEOPLE~雨のなかの女”

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フランシス・フォード・コッポラ監督の

1969年作品。

あの、あまりにも有名な ”ゴッドファーザー” の前作ですが

作風はまったく異なります。

(テーマは同一の部分もあるのですけれど)

 

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ニューヨークに暮らすシャーリー・ナイト

友人たちに祝福され、華やかな結婚式も挙げて

夫との新生活が始まるのですが・・・

 

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日々の生活に言いようのない不安を感じ、

衝動的に車で家を飛び出します。

途中の電話ボックスから夫に電話を。

(私は妊娠している。どうか探さないで欲しい。夫はひたすら混乱するだけですが、その後、夫には連絡を続けるシャーリー。指輪をまだ外していませんね)

 

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路上で若い男のヒッチハイカー(ジェイムス・カーン)に出会い、

シャーリーは好感を持ちます。

 

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二人の車の旅はテネシー、ケンタッキー、ネブラスカへと続きます。

 

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カーンは将来を期待されるアメフトの選手でしたが

試合中に怪我で脳にダメージを受けて

大学を追い出されてしまっていたのでした。

 

純真な少年のような心に戻っているのですが

行く先々でトラブルを起こしてしまい

”もうあなたの面倒は見切れない。私のお腹には自分の子供が居るのよ。その子供をどうしたいいのか分からないのに、もう一人子供の世話は出来ないわ”

と、カーンを車から降ろしてしまうシャーリー。

 

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その後スピード違反で警官に捕まってしまうのですが、

(警官役はロバート・デュバル、そう ”ゴッドファーザー” のトムですね。面白いのは ”ゴッドファーザー” では暴力的なアンソニー役のカーンと、この映画ではキャラクターがまったく逆になっているところ)

 

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夜になって、デュバルの暮らすトレイラーを訪ねたシャーリー

ベッドを共にしようとするのですが

デュバルの隠されていた本性~トラウマを目の当たりにして

恐怖に怯えます。

 

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そんな二人の争いを

窓の外から

カーンがじっと見ていました。

 

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さて、その結末は本編を見て頂くとして

「コッポラって、こんな映画も撮っていたんだ」

と、ちょっとびっくりしてしまいますね。

 

このストーリーはコッポラのお母さんが家出をした時の話が

ベースとなっているようで、ある意味プライベートフィルムとも言えます。

 

実はコッポラはこの作品の前に監督した

”フィニアンの虹” という

ミュージカル映画の評判が散々で、

(コッポラとミュージカルってイメージ湧きませんよね)

腐っていた時期だったのですね。

 

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”フィニアンの虹” に出演したフレッド・アステアの評伝本

「アステア ザ・ダンサー/ボブ・トーマス著・武市好古訳」

には、遠慮がちに~コッポラを気遣っているのですが、

失敗作だったとアステアも認めている記述があります。

(私はアステアのファンなのでこの作品も観たのですが、うーん確かに。

ちょっと褒めどころがありません・・・)

 

当時のコッポラの焦燥は

撮影に同行したジョージ・ルーカスが記録した

メイキング映像にも記録されています。

 

ロケハンを行わずに出たとこ勝負の撮影だったので

完成度の高い作品ではありません。

(音楽がいかにものオーケストレーションで、残念)

観光プロモーションのような場面もあったりするのですが

妙に心に残る一本ですよ。

 

もし、”ゴッドファーザー” とこの作品をどちらか選んで

観返すとしたら

私なら、こちらを選びますね・・・

 

ちなみに RAIN PEOPLE の意味は

車中で

カーンがシャーリーに説明しています。

 

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