バンコクには音楽を楽しめる店が色々あって、楽しいのです。
一年中寒くないから、オープンスペースで生演奏とかも聴けますし。
私が時々行っていたのは
カウンターオンリーの小さなパブ。
好きな音楽を選ばせてくれるんですね。
しかし長引くコロナ禍で、これらの店は
壊滅状態。
以下のお話は、それより前の
古き良き日々のお話です。
ある日
何気に曲を流していたら・・・
SPARKS This Town Ain't Big Enough For Both Of Us
シニアの白人男性がつかつかとやってきて
”君はタイ人か?”
と。
”いや、そうではないです。日本人です”
と答えたところ、
”なに?どこからどうみてもタイ人じゃないか。
まあ、そんなことはどうでもよい。
何故、君はこの曲(バンド)を知っているのだ?
今、私は驚いているのだ。
バンコクのバーで聴けるとは!”
と興奮気味に。
うーん、でもスパークスは日本でもLP出てましたし
極端にマニアックでもないですよ。
”なに!それは本当か?
君等に(アジア人ということでしょう)、良さが分かるのか?
それは信じられない。いかにも信じられないぞ
ブツブツブツブツ・・・”
うー、やや疲れるなあ(苦笑)
こういうことはままあるんですけどね。
さてこのやり取りを、お隣に座っていた
やはり白人男性がつまらなそうに聞いています。
ちょいと話を振ってみると、
イギリスはウェールズのご出身。
50代後半ということなので
適当に引っ掛かりそうなUKアーテイストの名前を挙げると
ますます興味なそうなお顔に。
”えーと、どのような音楽がお好きで?”
”僕はね、ロック嫌い。なんたってブルースなんだよ、ブルースが一番”
B・B・キング、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズ、
ハウリン・ウルフ・・・と話が止まりません。
”さあ、小賢しい商業主義の音楽ではなくて、ホンモノを聴こうじゃないか!”
ウッ、いかん。マニアだ。
ファンではなくて。
気持ちは分かる、分かりますよ。
完全に同意します。
しかし、パブやバーでずっと流すのはどうかなあ、
他のお客さんも居るわけだし
店のスタッフも退屈してますよ。
MUDDY WATERS Rolling Stone
そこに、いかにも上機嫌に酔っぱらった
これまた白人男性が
”ワシはね、こういうのが大好き。(タイ人の)ワイフも好きだから”
と。
YINGLEE Chewit Dee Dee
あっ、これは別の意味で危険。
店のスタッフさん、全員踊り出しますよ。
そうなったら止まりませんよ~
こういう小さめのカウンターバーでは
こんな感じの曲がちょうどいいんじゃないかなあ。
会話もお酒も程よく楽しめるでしょ?
BOBBY CALDWELL Break Away
カウンターの隅に居た
黒人男性が、
"GOOD JOB"
とニッコリ、微笑んでくれたのでした・・・