亡くなって20年ほど経ちますが
左幸子、という女優がいます。
50年代から映画出演をしていますが
キャリアの最盛期は60年代。
日本の映画史に残る作品群に
立て続けに登場します。
全編3時間という超大作。日本各地で大々的なロケを行っており、スケールの大きい作品。出演シーンは前半のみですが、主演の三国連太郎に一歩も引けを取らない存在感があります。(後半パートはよくある警察チームVS犯人ドラマなので、やはり左と三国の絡みがある中盤までが見どころ)
予告編
”にっぽん昆虫記” 監督/今村昌平
東北の寒村に産まれたある女性の「ど根性一代記」。まさに今村監督好みの題材で、熱気ムンムンの123分。左は娘時代~中年~老け役を一気に演じ切り、そのテンションの高さに圧倒されます。
予告編
”彼女と彼” 監督/羽仁進
こちらはガラリと作風が変わり、東京の団地で暮らす主婦役。(インテリタイプの夫には岡田英次)取り立てて不満の無い日常が、徐々に崩壊していく過程が斬新なタッチで描かれています。
予告編
この3本は国内外で高い評価を受けたのですが、
左幸子の圧倒的な演技力に唸るばかりです。
(撮影も素晴らしい。飢餓海峡/仲沢半次郎 にっぽん昆虫記/姫田真佐久 彼女と彼/長野重一)
70年代以降は私生活のトラブルや体調の悪化に悩まされ
活動のペースが鈍りましたので、
他の女優さんと比べて見過ごされがちですが
この3作品での輝きはまさに日本映画の宝。
未見の方は是非、本編をどうぞ。