バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

世界中で圧倒的高評価、溝口健二&田中絹代の ”雨月物語”

f:id:bkkmind:20211103101923j:plain

 

溝口健二監督の1953年作、”雨月物語

 

数ある日本映画のなかでもトップ・オブ・トップの存在で、

ベスト〇〇などのランキングものには

必ず上位にリストアップされています。

 

f:id:bkkmind:20211103102230j:plain

 

兄夫婦(森雅之田中絹代

 

f:id:bkkmind:20211103102329j:plain

 

森の妹とその夫(水戸光子、小沢栄)

 

戦乱の世、近江の国に住む二組の夫婦。

男たちは窯で焼いた陶器を売りさばくことで

一儲けを狙っています。

二人の妻はそんな夫の姿に

一抹の不安を感じているのですが・・・

 

f:id:bkkmind:20211103103013j:plain

 

市場へ向かう途中で、離れ離れに。

 

f:id:bkkmind:20211103103152j:plain

 

兄は美しい女(京マチ子)に出逢い、誘われるままに屋敷へ。

 

f:id:bkkmind:20211103103333j:plain

 

夢のような時間を過ごすのですが

どうも女の様子がおかしい。

実は女や使いの者たちは、この世のものではなかったのです・・・

 

f:id:bkkmind:20211103103557j:plain

 

一方、儲けた金を元手に

侍になって出世をするという夢をかなえた弟は

 

f:id:bkkmind:20211103103738j:plain

 

行方が分からなくなっていた妻に再会。

妻は遊女に身を落としていました。

 

f:id:bkkmind:20211103103936j:plain

 

弟は、浮ついた欲望を捨てて故郷に帰ることを決意します。

 

その頃、夢から覚めた兄も家に帰りつき、

そこでは妻が暖かく帰りを待ってくれていたのですが・・・

 

f:id:bkkmind:20211103104650j:plain

 

ストーリーがはっきりしていますし

二組の夫婦を置いたことで、話に広がりが出ています。

上映時間も約一時間半(96分)とほど良い長さですね。

田中、京、水戸と三大女優が持ち味を存分に発揮していて

そのバランスも絶妙です。

 

撮影当時、監督と田中絹代は私生活でもつき合いがあって

(結婚間近かと言われていた)

監督/役者の間柄を超えた充実感が

画面から伝わってきます。

 

f:id:bkkmind:20211103105445j:plain

 

個人的には溝口作品では

異常なまでにテンションマックスの ”西鶴一代女

無駄なシーンがゼロ、名人芸の ”近松物語”

により惹かれるですが

エンターテイメント性を適度に兼ね備えた本作が

国内外から高い評価を受けるのは

至極、頷けるところでもありますね。

 

夢幻に惑わされ、そして救われるのが森&田中

現世に踊らされ、苦しんだ末に絆を取り戻す小沢&水戸

この並列描写が、冴えに冴えているのが見どころですよ!

 

www.youtube.com