あっ、これはきてるなと。
大丈夫かなと。
マーヴィン・ゲイの1981年作品のジャケットなんですが。
当時のマーヴィンの世界観、心象風景がイラスト化されているんですね。
愛する女性や周囲の人間に誠実である(ありたいと願う)心優しき男
他者は全て自分を攻撃する存在であり、それらを一掃したいという破壊願望
この相反する二つの要素が天使と悪魔として描かれており
下界ではあらゆる争いが止むことなく、滅亡の日を迎えようとしています。
発売当時、評判&セールスはボロボロ。
(今はカルト作品として高い評価を受けたりしていますが)
私も当時アルバム買って、正直?でしたね。
実はこの作品、レコーディング当初は
「楽しく踊れるパーティーアルバムにしよう」
との意図があったようです。
(予定されていたアルバム・ジャケット)
しかしこの頃のマーヴィンは私生活に多くの問題を抱えており
作業は難航、リリース時期がどんどん後ろ倒しに。
業を煮やしたレコード会社は、完成には至っていない楽曲の数々を改変し、
(新しく楽器を加える、タイトルや歌詞を変える、アレンジの変更、曲の差し替え等)
マーヴィンの許可を得ずに発売してしまいます。
怒ったマーヴィンは長年住み慣れたモータウンレコードとの契約を解消することに・・・
(このあたりのいきさつは「マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル/デイヴィッド・リッツ著 吉岡正春訳」に詳しく書かれています)
さて、オリジナル版(といってもフィニッシュしていないわけですが)
とリリースされたバージョンを聴き比べてみると
FUNK ME FUNK ME FUNK ME
FUNK ME
マーヴィンが提出したバージョンは確かにダンスアルバム
~それも大きなディスコではなく、よりプライベートなホームパーティー的なセッティングにぴったりの感触があります。
公式盤のほうはファンキーなベースラインが目立ちますね。
全体的にくっきりとした音像で「なんとか売れる」ものに
仕上げたいという会社の意図(苦労)が伺えます。
どちらに軍配を上げるか?
うーん、私ならオリジナル版のほうですね。
マーヴィンの存在がグッと身近に感じられますから・・・
Heavy Love Affair (Early Mix)
Heavy Love Affair (from IN OUR LIFETIME)