バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

核が地球を滅ぼし、嫉妬が二人の愛を奪う~爆発期のマーヴィン・ゲイ作品 ”IN OUR LIFE TIME”

f:id:bkkmind:20211109112549j:plain

 

あっ、これはきてるなと。

大丈夫かなと。

 

マーヴィン・ゲイの1981年作品のジャケットなんですが。

 

当時のマーヴィンの世界観、心象風景がイラスト化されているんですね。

 

愛する女性や周囲の人間に誠実である(ありたいと願う)心優しき男

他者は全て自分を攻撃する存在であり、それらを一掃したいという破壊願望

この相反する二つの要素が天使と悪魔として描かれており

下界ではあらゆる争いが止むことなく、滅亡の日を迎えようとしています。

 

発売当時、評判&セールスはボロボロ。

(今はカルト作品として高い評価を受けたりしていますが)

私も当時アルバム買って、正直?でしたね。

 

実はこの作品、レコーディング当初は

「楽しく踊れるパーティーアルバムにしよう」

との意図があったようです。

 

f:id:bkkmind:20211109113735j:plain

(予定されていたアルバム・ジャケット)

 

しかしこの頃のマーヴィンは私生活に多くの問題を抱えており

作業は難航、リリース時期がどんどん後ろ倒しに。

業を煮やしたレコード会社は、完成には至っていない楽曲の数々を改変し、

(新しく楽器を加える、タイトルや歌詞を変える、アレンジの変更、曲の差し替え等)

マーヴィンの許可を得ずに発売してしまいます。

 

怒ったマーヴィンは長年住み慣れたモータウンレコードとの契約を解消することに・・・

 

f:id:bkkmind:20211109114430j:plain

(このあたりのいきさつは「マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル/デイヴィッド・リッツ著 吉岡正春訳」に詳しく書かれています)

 

さて、オリジナル版(といってもフィニッシュしていないわけですが)

とリリースされたバージョンを聴き比べてみると

 

FUNK ME FUNK ME FUNK ME

www.youtube.com

 

FUNK ME

www.youtube.com

 

マーヴィンが提出したバージョンは確かにダンスアルバム

~それも大きなディスコではなく、よりプライベートなホームパーティー的なセッティングにぴったりの感触があります。

 

公式盤のほうはファンキーなベースラインが目立ちますね。

全体的にくっきりとした音像で「なんとか売れる」ものに

仕上げたいという会社の意図(苦労)が伺えます。

 

どちらに軍配を上げるか?

うーん、私ならオリジナル版のほうですね。

マーヴィンの存在がグッと身近に感じられますから・・・

 

Heavy Love Affair (Early Mix)

www.youtube.com

 

Heavy Love Affair (from IN OUR LIFETIME)

www.youtube.com