バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

帝王マイルス・デイヴィスは、実は不器用だった?・・・

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ジャズの帝王、というより

もう名前自体が一つのブランドになっている

マイルス・デイヴィス

 

ロックのベスト・アルバムなどというランキングでも

上位に入ってくるアルバムがあったりと、

まさにジャンルを超えた存在です。

 

で、確かに次々と新しいスタイルを取り入れてるんですね、

歩みを振り返ってみると。

1968年頃が大きなターニング・ポイント。

アルバムでいうと、”マイルス・イン・ザ・スカイ” とか

キリマンジャロの娘” あたり。

 

明らかにジャズの枠組みから離れようとしているんです。

それまでと違って。

(でも、まだぎこちないところがありますね)

 

「吹っ切れた」のが、名作の誉れ高い ”ビッチズ・ブルー”(1969年)で

以降、70年代中頃の一時引退まで

怒涛の進撃。

キーワードはファンクとロックなんですけど、

どうもひっかかるというか、スッキリしない

”聴き心地”になるんですね、私。

 

というのは、そういうジャズ以外の要素というのは

マイルス本人の内部から出てくるものではなくて

バンドのメンバー達が構成しているんです。

 

マイルス自身はジェイムス・ブラウンスライ・ストーン

ジミ・ヘンドリックス、後年にはプリンスなどが

お気に入りで、自身のナンバーにサラリと引用したり

共演したりもしていますが、

実はファンクネスやロックンロール・スピリット的な要素は

マイルス、持ち合わせていなかったように思うんですね。

 

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ファンキー、ということでいえばそれは

ハービー・ハンコックロニー・リストン・スミス、マイケル・ヘンダーソン

といった、体質的に FUNK FEELING を備えたメンツに依っていると。

 

Funk Hunter    THE HEADHUNTERS

www.youtube.com

 

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ハービー率いるヘッドハンターズのナンバーですけど

これはもう最初の一音からファンクなんです。

マイルスのポケットには無い類のスタイルかなと。

(マイルスは演奏前に全体の構成を考え抜いて、それから吹くタイプ)

 

マイルスのソロ演奏を聴くと、

ごく初期を除いて

若い頃から基本、同じなんですよ。

もう ”マイルス印” が早くから確立されていて

本質的な変化は無いんですね。

その意味では決して幅の広いタイプのミュージシャンではない。

 

その反面、

時代の流行に敏感で絶えず新しい世代のミュージシャンを発掘

&抜群の統率力でコントロールする~

こういう「親方力」が半端なかったんですよね。

 

まったくの想像ですけどね、

一人のミュージシャンとしてのマイルスは

こういう音楽を演りたかったんじゃないかな?

 

Free Man In Paris  JONI MITCHELL

www.youtube.com

 

強力なメンバーが揃っていますが、ドラムスを叩いているのは

マイルスのバンドにも在籍していたドン・アライアス。

素晴らしいの一言ですね。

 

こういった腕達者なプレーヤーが長年

入れ替わり立ち代わり、マイルスを支えて・・・

 

あっ、天国から何やら聞こえてきます。

「うるさいぞお前。分かったようなことを言うでない。ただ黙って聴くんだ。俺の音楽をな」

 

はい、その通りでございます。

大変失礼いたしました、親方。

 

これからもずっと貴方の音楽を聴きますし

大好きですよ、勿論。

 

The Man With The Horn   MILES DAVIS

www.youtube.com