いささか旧聞に属する話ですけど
去年の紅白、視聴率が奮わなかったんですって?
まあその傾向は今に始まったことではないのでしょうけれど。
要因はね、色々あると思うんですが
今はレギュラーの歌番組~今週のベスト10といったものが
無いですよね。
こういうのがあるとね、ジャンルに関係なく
あらゆるタイプの歌い手さんが登場してくるわけですよね。
新人もベテランも、演歌でもフォークでも。
だから、(好き嫌いはあるにしても)
馴染みが出来ますよね。
「あ~、夏ごろ流行ってた。水着着て歌ってたよね、芸能人水泳大会で」
「新曲、大瀧詠一が書いてるんだって」
「この人さ、スタジオで歌ったこと一度もないよね。いつも中継ばっかり」
とか。
毎週かそれに近い頻度で見続けたうえで、
年末に一堂に会して歌合戦。
これだと成立しますもんね。
別に無理は無いですよ。
でも大晦日に至るまでの過程が
今はもう消滅してしまってますからねえ。
(視聴者が)知らないメンツが知らない曲を持ち寄って
さあ対決だ!盛り上がりましょう!応援よろしく!
と言われても、それはちょっとね・・・
あと、歌の本質というのかな
誰のために歌ってるのか、という事柄も関係してるかなと。
これは洋楽全般にも言えることですけど。
ベースはね、聴いてくれてる人のためですよね。
以前は100%そうだったんですよ。
作詞家も作曲家も編曲者も演奏者も
勿論歌手も、全精力をそこに傾けてたんですよね。
ところがある時期から
まずは自分ありき、になったんですよ。
「私の詩・曲・声・演奏を聞いてください。私と一緒に私の音楽世界を楽しんでください。私の良さを分かって欲しいんです。そういう人に向けて私は音楽を創っています」
こういうスタンスは、最初のうちは非常にうまく機能してたんです。
アーティスティックな表現欲と聴き手へのリスペクトが
うまくブレンドされていて。
でも、そのうち
アウトプットオンリーになっていくんですよ。
自分のためにやってるんです。
音の方向が自分に向かってるんです。
これだと、「合戦」になりようがないですね。
相手がそもそも居ないので。
・・・
いやあ、世迷い言はこれくらいにしないと。
そもそも紅白って、私
何十年も見たことないんだから
気にする必要皆無なんですけれどね。
大変、失礼をばいたしました・・・
紅白歌合戦 1969年 オープニング