陽の高いうちに聴きたい音楽
夜遅くの時間帯にハマる音楽
アーティスト本人のカラーやイメージということもありますけれど
今日は同一人物の作品で
「昼版」と「夜版」を比較してみようかなと。
稀代の女性ボーカリスト、フィービ・スノウ(1950ー2011)の
1976年製作の "It Looks Like Snow"
Autobiography(Shine,Shine,Shine)
リズムも軽快で躍動感があります。
このアルバムにはかのビートルズの ”ドント・レット・ミー・ダウン”
のカバーも収録されているのですが、スティールパンが使われていて
ちょっとしたリゾート気分。
全体的に明るいイメージで、まさに昼間に聴く音楽です。
ところが、前年発表の "Second Childhood" は
まったく印象の異なるサウンドで、
No Regrets
これはもう、夜
それも真夜中ど真ん中
とでも言えそうなムード充満。
ちなみに日本盤のタイトルは ”夜の調べ” となっています。
日本サイドの担当者も、「夜」を感じ取ったのでしょうね。
この違いはおそらく
レコーディングの土地柄によるところが大きいかなと。
"It Looks ~"
は西海岸(LAとサンフランシスコ)録音なんですね。
プロデューサーはじめ参加ミュージシャンは勿論、地元組。
"Second~"
は対して、ニューヨーク制作。
こちらは東海岸オールスターズ的な顔ぶれがバックアップしています。
ここまで音の感触が違うのか、という
興味深いサンプルですね。
もう一人、また別のケースで聴き比べてみましょう。
ローラ・ニーロ(1947-1997)
のマスターピース、"New York Tendaberry"
69年のアルバムですが、もうジャケットや内袋の装丁からして
お陽さま無関係、の世界であります。
You Don't Love Me When I Cry
ところが
76年発表の "Smile" では打って変わって
ライトでポップな音作り。
The Cat Song
猫ちゃんの歌ですからね、非常にピースフル。
ボーカルもすっかり肩の力が抜けています。
ジャケットの表情も別人のように穏やかで。
さて、この二作品は録音場所が同じなんですね
ニューヨーク(ローラはもともとNY出身)
この場合の音の違いは身辺~心境の変化に依るものかと。
ローラはアルバムセールスの不振や人間関係などがもとで
70年代前半に表舞台から姿を消して、郊外に引っ越します。
プライベートでもパートナーと結婚(のちに別れますが)して、
数年間のカントリーライフを送ったのちに
"Smile" が発表されることに。
その後のローラは基本、この寛ぎ路線で
マイペースに活動を続けていくことになります。
さてさて、昼と夜のバージョン違い
どちらが魅力的でしょうかね?
私なら、夜版のほうが耳にしっくり入ってきたりします・・・