1967年の特撮映画なんですが
ちょっと他の怪獣モノと毛色が違うので
妙に印象に残る作品です。
まず登場する怪獣がですね、夫婦なんです。
ご主人と奥さん。
いやあ、人間じゃないんだから
オスとメスでいいじゃないかという話なんですが、
いつも一緒なんですよ。
で、お互いに信頼感があるんですね。
(怪獣本人に聞いたわけじゃないですが)
適度な距離感を持ちながら、建物を壊す時も夫唱婦随。
物腰も落ち着いてるんですね。
(巨大な怪獣としては)
人間に奪われた子供を取り返すことが出来て
ハッピーエンドのお話。
絵的に美しいシーンがあって
ますます抒情的なムードが高まります。
非常に丁寧に撮っていますね。
製作は日活なんですが
えっ?日活??
ということで、本編シーンのほうも
かなり豪華な顔ぶれになっています。
リゾートファッションで寛ぐ山本陽子
相手役には川地民夫
共演に藤竜也、和田浩二と
日活お得意のアクション映画が充分一本
撮れてしまいそうな布陣です。
(そういうシーンがあったらもっと面白くなっていたと思いますが、残念ながら人間ドラマのほうは大人し目です。まあターゲットは子供ですから無理もないのですが)
おそらく日活製作の怪獣モノは
本作(監督/野口晴康)のみだと思いますので、その意味でも
レアな一作ですね。
さて、男優陣では出番がもっとも多い川地民夫。
生前の宍戸錠が川地の演技を褒めていた作品が
こちらではそれほど出番が多くないのですが
屈折した心理を持つ若者を独特の存在感で演じています。
野獣の青春 予告編
「ジョーさん、今度怪獣映画に出ることになったんですが、どういう芝居をすればいいですかね」
「お前も大きくなればいいじゃないか」
なんて会話があったりしてね・・・