マイルス・デイヴィスと聞くと
強者が揃った50年代~60年代のグループ演奏や
70年代のファンク&ロック色を強めた時期の
印象が強いですけれど
それとはまったく異なる路線~ロマンティック・マイルス
を聴くことが出来るアルバム群を幾つか。
Deception
1950年のセッションですが
実に洗練されてますねえ。
9人編成という変則構成ですが、チューバやフリューゲルホーンの音色が
柔らかな音像を作り上げています。
マイルスはこの時にまだ20代前半だったのですけれど
単なるプレーヤーではなく、全体の構成を緻密に考えていく
タイプのミュージシャンだったことがよく窺えますね。
New Rhunba
この路線を推し進めたのが、57年のアルバム ”マイルス・アヘッド”
演奏人数が増えていますが、もうオーケストラと呼んでいいほどの
スケール感があります。
(ちなみにマイルスのクレームでジャケットが変更されたのですが、オリジナル盤のほうが良いように思いますね・・・)
"Miles Ahead" original design
The Duke with Gil Evans Orchestra
このロマンティック路線の際の
欠かせぬ共演者がギル・エヴァンス。
ギル無しでは後の名盤
”ポーギー&べス”
”スケッチ・オブ・スペイン”
も誕生しなかったでしょう。
(マイルスには、彼のアイデアを肉付けしていくパートナーがいつも傍に居ますね。ハービー・ハンコックやジョー・ザビヌル、マーカス・ミラー等々)
80年代以降のカムバック後も
映画のサントラ盤や
デンマークで録音された”AURA”などで
このタイプの演奏が聴けるのですが
まあ、はっきり言って「お仕事」に留まっているレベルです。
やはりギルとの諸作がベスト・オブ・ベスト。
マイルスにとってはメインの方向性ではなかったのかもしれませんが
実はマイルスの奏法には非常にフィットしていたように
思うのですよね・・・
Will O' The Wisp