ポール・サイモンの横にポーカーフェイスで立っていて、
時々綺麗な声でリードボーカルを歌う人~
そんなイメージが強いように思われる
アート・ガーファンクルのソロ時代を簡単に振り返ってみようかと。
1970年にサイモンとガーファンクルが(実質)解散した原因に
アートの映画熱が挙げられることがあります。
レコーディングよりも撮影を優先させたという。
実際、この時期のアートは
”キャッチ22”
”愛の狩人”
といった作品で、かなり大きな役を与えられています。
愛の狩人
最初のソロ・アルバム ”天使の歌声” は
解散からかなり時間の経った73年の発表。
様々なタイプの作品が収録されていて
アートのボーカリストとしての才能が光る良作です。
セカンドソロの”愛への旅立ち”(75年)は異色作で
アートのアルバムとしては珍しく
官能的な香りが濃厚な ”夜の” アルバム。
個人的には大の愛聴盤です。
三作目の ”ウォーターマーク” は
シンガーソングライターのジミー・ウェッブ作品集。
前作とは一転して、アコースティックなサウンドで
S&G時代のファンからは好評でした。
この辺りまではセールスも好調だったのですが、
続く ”フェイト・フォー・ブレックファースト”(79年)
から内容的に ↓ 方向へ。
私はアートのファンでしたので、アナログ(LP)盤はすべて
買っていましたけど、「あらー、ありきたりになってきてるなあ」
と正直がっくり。
はっきり言って安直なAOR路線の匂いがプンプン・・・
以降は、恋人(女優のローリー・バード)の自殺や
自身の喉の不調などもあって
アルバムの制作ペースもスローに。
シングルヒットも出なくなります。
Perfect Moment
純粋なソロ作ではないのですが
2002年の "Everything Waits To Be Noticed" では
珍しく曲作りにも積極的に参加、
好盤に仕上がっていました。
この路線をもうちょい、続けてもよかったかもですね。
盟友ポールとは
ライブやテレビ出演、アルバムへのゲスト参加などはあるのですが
S&Gとしての新作は遂に発表されませんでした。
(シングルで一曲のみあり。アルバムも途中まで制作されていましたがボツに)
こうして振り返ってみると、最初の2作が
アートのボーカルを堪能するには最適ですね。
曲単位では、”Traveling Boy" がベスト。
アート個人にとっての ”明日に架ける橋”
といえる作品です。
ラリー・ネクテルのピアノ
ハル・ブレインのドラムス
ラリー・カールトンのギターも最高。
シングル・バージョンやベストアルバムでは
それらがかなりカットされているので
オリジナルのアルバムテイク(ファーストソロ収録)で
聴きましょう!
Traveling Boy