うーん、これはもう驚異なんですよ。
100年近く前の映画なんですけども。
ちょっと形容出来ないくらい完璧で。
監督はF・W・ムルナウ
”最後の人” ”吸血鬼ノスフェラトゥ”
などがよく知られていますが
42歳(1931年)で世を去ったのが惜しまれますね。
まず、非常に大掛かりなセットが組まれていて
スケールが大きい。
そしてカメラワーク(移動撮影)が実にスムースなんですね。
様々なテクニック(オーバーラップ、フラッシュバックなど)が用いられていて
どれも完成度が高いんです。
ストーリーはシンプル。
美しい奥さんが居るというのに
小さな村に住む旦那さん、街からやってきた女に
心を奪われてしまっています。
自分から心が離れていく夫に
涙する妻。
演じているのはジャネット・ゲイナー
この当時は20歳そこそこだと思うのですが
超完璧な演技で圧倒されます。
「ねえ、奥さんをボートに乗せて溺れさてしまいなさいよ」
と女が囁くと、字幕も沈んでいきます。
夫は妻を殺そうとするのですが
なんとか思い留まります。
自分の愚かな行いを悔いる夫
妻はそれを受け入れます。
二人のあいだに再び信頼が。
前半と違って、ゲイナーは若妻らしくはしゃぎます。
ゲイナーの表情や仕草が無茶苦茶キュート!
街で楽しい時間を過ごした後に
湖をわたって家路に着くのですが、突然天候が崩れて
二人の乗ったボートが転覆、なんとか岸に辿り着いた夫。
しかし妻の姿が見当たりません。
半狂乱になる夫を助けて村人たちは総出で
妻を探すのですが・・・
メインの登場人物は3人(夫婦と女)なのですが
助演の役者(赤ちゃん、村人、犬、馬、子豚なども含めて)も名アシスト。
小道具のひとつひとつもうまく活かされていて、
男を誘惑することに失敗した女についても
途中で消えることなく、しっかり描かれています。
ハートウォーミングでかつユーモアやサスペンスも
適度に散りばめられているバランスの良さ。
100点満点の500点映画ですね。
Sunrise Trailer