バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

支離滅裂でも構わないさ~反骨の人、ジョゼフ・ロージーの ”呪われた者たち”

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"The Damned"

1963年のイギリス映画ですが

うーん、これは発表当時の評価

良くなかったんじゃないかなあ。

 

前半と後半ではすっかり雰囲気というか

中味が変わってしまってるんですね。

いったいどんなジャンルなんやねんと。

もう訳分からんの世界ですわ。

 

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イングランドの海辺の町にやってきた

アメリカ人の中年男(マクドナルド・ケリー)

謎めいた若い女シャーリー・アン・フィールド

に色目を使われて、ふらふら後に付いていきます。

 

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しかし、物陰からいきなり飛び出してきた男たちに

ボコボコにされてしまいます。

 

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犯人はなんと女の兄が率いる

半グレ集団。

要は美人局の被害にあったわけですね、アメリカ人男は。

 

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しかし、酷い目にあったはずなのに

何故か女と恋に落ちるアメリカ人。

兄たちを疎ましく思っていた女と一緒に

ボートで町を離れようとします。

 

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てめえら、逃がさないぞ

このヤローと追いすがる兄達を振り切ることに成功。

町から離れた入江に辿り着くのですが・・・

 

とここまではまあ

よくあるストーリーで

取り立てて破綻は無いのですが、

以降の展開に口があんぐり。

 

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入江の洞窟の中には

9人の子供たちが共同生活を送っていて、

逃げてきた男と女を助けてくれるのですが

どうも様子がおかしいのですね。

 

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子供たちは皆、賢くて気立ても良いのですが

外の世界についての知識がまったくありません。

そう、それには事情があったのです。

(ネタバレになるのでその事情については伏せておきましょう)

 

よし逃げるんだ!

 

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二人を追ってきた兄も一行に合流。

子供を連れて脱出を試みます。

しかし時遅し、”強大な力” を持った追手がすぐそこに・・・

 

というわけで、序盤の日活アクションのような雰囲気から

いきなりB級SFモードに早変わり。

最期は名作 ”渚にて” を思わせるようなエンディングに突入。

(しかしキレが無い・・・)

 

致命的な欠陥は主役のマクドナルドで

失礼ながら完全に盛りを過ぎていて、魅力無し。

 

直情型の兄を演じるオリヴァー・リード

影のある彫刻家を演じるヴィヴェカ・リンドフォースが好演なだけに

惜しまれますね。

 

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半グレあんちゃん達のなかにも

目立つ俳優さんが居るので、もっと登場場面があっても良かったかも。

(我が物顔で町を練り歩くところは、後年の ”時計じかけのオレンジ” 的です)

 

そしてこの作品、カメラワークはとても良いのですよ。

 

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バイクの疾走シーンやヘリと車のチェイスなど

かなり迫力があります。

 

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絵的にも美しいショットがあるんですよね。

監督が鬼才、ジョゼフ・ロージーですから。

単なる駄作を作るわけでもなく。

 

というわけで、見どころは(特に前半)あるんですけれども

しかしやっぱり、珍品に属する一作でしょうか。

見て損は無い!かどうかは分かりかねます・・・

 

呪われた者たち   予告編

www.youtube.com