バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

映画VS小説 読んでから観るか?それとも観てから読むか?

f:id:bkkmind:20211128100824j:plain

 

フレデリック・フォーサイスの小説

ジャッカルの日

1971年の出版。

 

映画版は1973年の製作で

監督はフレッド・ジンネマン

主役にエドワード・フォックス。

 

文庫本で500ページ強、

映画のほうも2時間22分と重量級の内容です。

ちょっと両者を比べていきましょうか。

 

f:id:bkkmind:20211128101453j:plain

 

イギリス出身のフォックス、反フランス政府組織の幹部から

ドゴール首相の暗殺を依頼されます。

 

f:id:bkkmind:20211128101722j:plain

 

フォックスは高額の報酬と引き換えに、着々と暗殺計画を練っていきます。

 

自分と似ている人物のパスポートを空港で盗むシーンですが

フォックス、それほど背丈は高くないように見えます。

むしろ欧米人としては小柄な部類ではないでしょうか。

(原作では180センチとなっています)

 

f:id:bkkmind:20211128102209j:plain

 

対する警察側は

ベテランのマイケル・ロンズデールと若手のデレク・ジャコビ

による二人組。

 

原作ではこの二人が登場するのがかなり遅く(ほぼ半分過ぎ)

また、フランス政府や警察組織のメンバーの固有名詞が多数

登場しますので、(特に外国人にとっては)

映画版のほうが理解しやすいような気がします。

 

半面、個々の登場人物のバックグラウンドが

小説ではしっかり描写されていますので

(なぜ反政府活動に身を投じようとしたのかなど)

作品の深みに浸るには、やはり活字の世界のほうが勝っています。

 

f:id:bkkmind:20211128103122j:plain

f:id:bkkmind:20211128103143j:plain

 

フォックスは様々な交通機関を用い

&巧みな変装術でフランス入国を試みます。

 

f:id:bkkmind:20211128103314j:plain

 

対する警察の二人組も懸命にフォックスを追跡するのですが

あと一歩のところで取り逃がしてしまいます。

 

この小説はフランス以外にもヨーロッパ各国が舞台となっているのですが

そのスケール感を表すには映像は向いていますね。

文字だけですと(実際に行ったことがなければ)

頭の中で想像するしかありませんから。

 

ただ映画ではフランス政府の役人も英語で話しています。

考えようによっては非常におかしい話ですよね。

英語圏をメインの舞台にした場合にどうしても

起きてしまう現象ですが。

 

その点、翻訳本でしたら

作品中に登場するのが何語であろうが

全部日本語で統一されているので、却って不自然な感じが無いともいえます。

読者が勝手に、「ああ、ここはイタリア語で会話してるんだろうな」

などとイメージすればいいわけですから。

 

f:id:bkkmind:20211128104506j:plain

 

遂にドゴールが公衆の面前に姿を現す

パレードの日を迎えてしまいます。

焦りを隠せないロンズデール。

(ちなみに小説では短躯となっていますが、ロンズデールはかなり上背があります)

 

f:id:bkkmind:20211128104708j:plain

 

年老いた傷痍軍人に化けたフォックスは

厳重な警戒網を突破し、ドゴールを狙撃するのに

最適な位置のアパートの一室に侵入することに成功。

 

f:id:bkkmind:20211128104855j:plain

f:id:bkkmind:20211128104930j:plain

 

さて、果たしてドゴールの運命や如何に・・・

 

この作品は原作の小説も、そして映画も

どちらも非常に良いんですね。

だいたい映画化されるとですね、(先に原作を読んでいると)

ガッカリすることが多いわけです。

読書中に、頭の中で”理想の映像化”を

してしまってますから。

 

エドワード・フォックスもマイケル・ロンズデール

小説版とイメージは違うんですけれども

素晴らしい演技の連発。

 

読んでから観ても、観てから読んでも

一粒で二度美味しい

極上のエンターテイメントワールドに浸れること請け合いです。

 

The Day Of The Jackal   a scene from custom-made rifle test

www.youtube.com

 

一つだけリクエストを。

日本語の訳(もう50年くらい前ですので)と

表紙をそろそろ変えてみてはいかがでしょうか・・・

 

f:id:bkkmind:20211128110539j:plain