こちらはちょっと(笑)前、1933年(昭和8年)の
キネマ旬報誌の洋画ベスト10。
第三位の ”犯罪都市”
第五位の ”街の風景”
両作品に主演していたのが、シルヴィア・シドニー
という女優さんです。
戦後も映画やテレビドラマへの出演が途切れず、
80歳を越えて、ティム・バートン監督の
エンタメ大作 ”マーズ・アタック!” に
(出番はそれほど多くはないのですが)登場。
健在ぶりを見せつけました。
ちなみにこの作品は
その年のキネ旬のランキングにトップ10入り。
まさにお見事!のひとこと。
音楽の分野ではなかなか達成出来ない偉業ですね。
さて、シルヴィアが人気絶頂だった30年代に
和製シルヴィア・シドニーと呼ばれた
日本の女優さんが居ます。
水久保澄子(みずくぼ・すみこ)という人ですが
映画出演は僅か数年間という短さ。
人気は随分とあったようですが、プライべート&仕事両面で
様々なスキャンダルに巻き込まれてしまい、
その後消息を絶ってしまいます。
残されたフィルムを観ますと
非常に現代的というかモダンな雰囲気ですね。
小津監督の ”非常線の女”(1937年)では
田中絹代と共演しているのですが
どこかあか抜けない(そしてスタイルもあまりよろしくはない)
田中に比して、正直ずっと目立っていました。
順調にキャリアを積んでいければ
それこそシドニーに負けない
大女優になっていたことでしょう。
Sylvia Sydony
水久保澄子
映画人としては両極の道を歩んだ二人ですが
共通点もあるのですよ。
”非常線の女” で水久保が勤めているのは
レコード屋という設定なのですが
”マーズ・アタック!” では
シルヴィアがいつも聴いているレコードが
ストーリーの結末に繋がる重要な小道具になっているのです。
どちらもレコードプレーヤーがチラリと映るのですが
バートン監督、
水久保澄子の隠れファンだったりしてね・・・
”君と別れて” (監督・成瀬巳喜男/1933年)