バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

冷徹の極限~ブレッソンの ”少女ムシェット” (1967年)

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これはですね

観るのが、

観続けるのが相当に辛い作品です。

 

フランスの片田舎に暮らす少女の物語なんですが。

 

彼女(ナディーヌ・ノルティエ)は

父親から暴力をふるわれ、

学校では教師から目の敵にされ、友達も一人も居ません。

 

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日々の生活に何一つ、喜びを見出せることが出来ないのです。

 

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遊園地でほんのひと時、楽しい時間を過ごすこともあったのですが

 

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彼女の孤独と絶望感は頂点に達します。

 

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自分の存在価値は

他人からの蔑みと憐みにしかなく

それ以外の人間からは完全に無視されています。

まるで動物のように、いや動物以下かもしれない・・・

 

ラストシーンは強烈です。

救いの手は、差し伸べられません。

(哀しい終わり方の映画というのは多数ありますけれど、それらのなかでも群を抜いているのでは?)

 

また、前年の ”バルタサールどこへ行く” と同じく

動物虐待(特に現在の感覚では)の場面がかなりしつこく出てきますので

気分を害する人も多いかと。

いかにもブレッソンらしいといえば、そうなのですが。

 

A Scene From Mouchette by Robert Bresson

www.youtube.com

 

勿論、映画の世界の話で

ブレッソンが実際に

少女を虐めているわけではありません。

観終わったあとに、ドーンと暗い気持ちになった場合は

メイキング映像が残されていますので

口直しに覗いてみるのもいいかもしれませんね。

 

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(無理やり泣かせているのではなく)

 

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(撮影中に寛ぐブレッソン&ノルティエ)

 

さて、もし日本で少女役をやるとしたら誰が居るかな?

”生きる”で好演した小田切みきはどうでしょうか・・・

 

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