言わずと知れたミケランジェロ・アントニオーニの有名作品。
特に映画好きの方でなくとも観た方が多いのではないかと。
宣伝素材もカッコいいしね。
そして感想はですね、おそらく(間違いなく)
「なんじゃこれ・・・よく分からん」
だと思うんですよ。
褒めるとしたら、当時のロンドンの風俗~グルービー・ロンドン
がよく描かれているとか、カメラワークのセンスがいいとか。
肝心のストーリー展開については、鑑賞していて
なるほど~納得となる人は
それほど居ないでしょう。
これね、私も遥か昔に観て
やはりイマイチ理解できなかったんです。
で、観返す機会があって
あー、そういうことなのね
と(勝手な思い込み解釈かもですが)合点がいきました。
マニアの方や映画評論家の解釈とは全然違うかもしれませんが・・・
映画の冒頭、主人公のデヴィッド・ヘミングス
工場勤務を終えて、車に乗り込みます。
2台停車していて、どちらの車に乗ったのが
ちょっとよく分かりませんが
いずれにしても以降のシーンに頻繁に登場する車とは
明らかに違うように見えるんですね。
(幌付きなんですが、最初の画像で奥のほうの車だとしても色が違いますし、デヴィッドは駐車の際に幌は下ろしたままです)
ここからファッションカメラマンとしての華やかな日常
&公園での殺人事件が描かれていくわけですが、
それらは全て、現実に起きたことではなく
デヴィッドの夢の世界なのではないかと。
だから不条理、不自然な場面が多くて当たり前なんですよ。
夢の中の話ですから。
(無線電話のやり取りとかヤードバーズ演奏での観客の様子とか、どこか変でしょ)
夢のなかのデヴィッドはモテまくりなわけです。
そういったシーンは全てカラフルな色調。
しかしその夢のなかにも現実が忍び込んでくるわけですね。
その際にはカラーでなくてモノクロ(白黒)の描写になります。
フィルムも白黒ですよね。
(冒頭の車に乗るシーン、手前の風景は黒一色。車の奥~進行方向の街並みはそうではありません)
で、夢ならいつかは醒めるわけです。
このプラカードにもそのメッセージが。
夢の中に迷い込んでいるデヴィッドを優しく諭す
サラ・マイルスのような存在もあります。
よく知られている ”エアー・テニス ”のシーンですが
デヴィッド、若者グループから離れて
ポツンと一人ですね。
(服が上下、白黒)
とても寂しそうに見えます。
グループのメンバー
顔が白塗りですよね。
”もう時間切れですよ。この世界からお引き取り下さい”
と言ってるんですね。
デヴィッドはここで、初めて見えないボールを追って
視線を左右に動かします。
(さようなら、一夜の夢・・・)
そして、消えていくわけですね。
色とりどりの夢世界からモノクロの現実に戻っていくんです。
というのがマイ・勝手解釈。
このアメリカ西海岸版にあたるのが
リンチの ”マルホランド・ドライブ”
なんじゃないかと。
構成とテイストが共通しているように思うんですね。
以上、あくまでごく私的な感想ということで・・・
Blowup Trailer