一人の役者さんが複数の役を演じる。
双子とか兄弟姉妹の場合が多いかと思いますが、
まったくの他人に扮することもありますね。
ヒッチコックの ”めまい” (1958年)は
そのなかでもよく知られている有名作です。
二役を演じるのがキム・ノバクなんですが
化粧、ヘアスタイル、付けぼくろ、洋服を変えて
相手(ジェームズ・ステュアート)の前に姿を再び現すわけですね。
で、ステュアート
気付かないんですね。
同じ人物だと。
まあ、確かに変わってるといえば変わってますが
二人は親密な関係だったわけです。
チラリと会話しただけとかではないんですよ。
いくらなんでも、それは不自然かなあと。
(ステュアートは精神の状態が不調で衰弱気味。判断力が衰えていたという設定にはなっているのですが)
本来最初に予定されていた女優さんは別の人だったようで
撮影中のヒッチとノバクは、あまり良好な関係ではなかったようです。
(撮影中のオフショット)
坂の多いサンフランシスコと高所恐怖症(ステュアート)を
引っ掛けたり、かなり頻繁に性的なメタファーを散りばめたりしてあって
見どころが多い作品ではあります。
さて、”死刑台への招待~Return From The Ashes” (1965年)は
二役を演じているわけではないのですが
別人と思われてしまうストーリーの映画。
若くてハンサムな彼氏(マクシミリアン・シェル)と一緒の
幸福な日々。
しかし、ある事件(ナチスの強制収容所に入れられてしまう)によって
すっかり面貌が変わってしまいます。
自由の身になったのですが
このままの姿で彼に会いたくない・・・
そこで整形手術を受けて、
若々しさを取り戻します。
そして彼とのご対面。
しかし彼の口から出た言葉は
「あなたは以前僕が好きだった女にとても似ている。そこで折り入って相談が・・・」
気付かないんですねえ、こちらのケースも。
いやあ、そんなことはないと思うんですけども・・・
まあしかし、そういうことにしないとですね
話が進行していかないので
しょうがないんですけれど。
職人監督の、J・リー・トンプソン作品ですが
切れ味いまひとつといったところでしょうか。
もしどちらも未見ということでしたら、
”めまい” のほうをお勧めします。
Vertigo Trailer